カーリングのパンコンチネンタル選手権(以下、PCCC/10月29日~11月4日)がカナダ・ケロウナで開催される。 この大会は、来年3月に同じくカナダのシドニーで行なわれる世界選手権の予選も兼ねていて、上位5チーム(※)が同大会に駒を進める…

 カーリングのパンコンチネンタル選手権(以下、PCCC/10月29日~11月4日)がカナダ・ケロウナで開催される。

 この大会は、来年3月に同じくカナダのシドニーで行なわれる世界選手権の予選も兼ねていて、上位5チーム(※)が同大会に駒を進める。また、その世界選手権の結果が2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪出場に関わってくるため、このPCCCがある意味、五輪への第一歩にあたる。
※カナダが開催国枠を持っているため、実質カナダを除いた上位4カ国

 女子日本代表として挑むのは、昨年に続いて日本選手権を制したロコ・ソラーレだ。



公式練習でアイスの感触を確かめたロコ・ソラーレ。photo by Takeda Soichiro

 昨年の第1回大会では、ラウンドロビン(総当たりの予選)で2敗を喫し、3位でのクオリファイ(プレーオフ進出)ながら、プレーオフで高い修正能力を発揮。準決勝でカナダ、決勝で韓国に競り勝ち、初代女王の座に就いた。

 一昨季までは、前身の大会となるパシフィックアジア選手権出場のために、活動拠点となるカナダから一度、アジア、オセアニア圏内の開催地へ戻るタイトなスケジュールを強いられてきたことで、どうしてもチーム強化や試合内容よりも、日本代表として世界選手権の出場枠獲得を優先し、結果に重きを置いた試合展開を余儀なくされてきた。

 しかし、パンコンチネンタル選手権がカナダを中心に立ち上げられた昨季からは、活動拠点からの長距離移動がなくなったため、強化を継続しながら大会に臨むことができるようになった。カナダでの世界ツアーで出た課題や強化ポイントを保ったまま、日本代表としてのタスクをクリアしていく、ということが可能になった形だ。

 昨年の大会後、サード・吉田知那美が「目の前の結果に一喜一憂せずに、チームとしてどこで成長できるか、考えることができていたと思います」と語っていたのは、そういった変化もあってのことだろう。

 そして今年も、活動拠点のカルガリーからの最少距離の移動で現地入り。大会へ向かう流れとしては悪くない。

 ただ今季のロコ・ソラーレは、ホームの北見市でのアドヴィックス杯(8月)で優勝して以降、9月にカナダへ渡ってグランドスラムを含めて4大会に出場してきたが、最高成績がベスト8。ピーキング、コンディショニングに若干苦しんでいる印象だ。

 直近のグランドスラムでは、セカンドの鈴木夕湖が腰の張りと痛みを訴え、大事を取る形で欠場するといった不安要素もある。

 それでも、今季スタート時点でスキップの藤澤五月は「ここで勝ちたい、という試合を明確にして、結果を出せる準備をしたい」と、抱負を語っている。鈴木のグランドスラム出場見送りも、PCCC重視という姿勢の表れだろう。

 ロコ・ソラーレはここ数年、強化のポイントに"準備"を挙げてきた。たとえばスケジューリングでは、試合と練習とオフとをバランスよく配分した遠征スケジュールを組むことに注力している。

 そのうえで、大会中は「(開催される)その街でいかに居心地よく過ごせるかを大切にしています」と吉田知。滞在ホテルにジムやバスタブがあるか。近所に安全で快適な散歩道やランニングコースがあるか。そういったことも細かく吟味して、万全の態勢を整える。

 食事や試合中の補食を用意するため、日本から食材を持参することも多いが、今大会では日本代表をサポートする全農が、現地レストランと提携して手配したおにぎりなどが補食として提供されるという。食の面でも、7日間で最大9試合という長丁場をこなす体制は整った。

 開幕前日の28日には、大会公式練習で現地リンクのアイスの感触も確かめた。鈴木も参加し、「(腰は)問題なく、元気に練習できました」と自身の状態を確認した。

 鈴木とスイープ面での相棒となる吉田夕梨花は「無事に(鈴木)夕湖さんも戻ってきました」と笑顔を見せたうえで、「大会を楽しみながら、去年よりどこが成長できているのか、自分たちで楽しみにしています」と抱負を語った。

  大会初日の10月29日には、午前中にニュージーランドと対戦(日本時間:10月30日、0時30分頃)。同日夜には、開催国で優勝候補のカナダと対戦する(日本時間:10月30日、11時30分頃)。

 藤澤は、「序盤は勝敗よりも、アイスの情報を集めながら戦えたら」とアイスリーディングの重要性を強調。大会連覇に向けて、そして2026年五輪に向けて、好発進を期待したい。