ダート競馬の祭典・JBC。ジョッキーにとっても祭典である。昨年デビューした今村聖奈騎手は騎手になる前、一ファンとしてJBCを楽しんでいた。 「初めてJRAの競馬場で開催された2018年に京都競馬場にJBCを見に行きました。あまりにもお客…

 ダート競馬の祭典・JBC。ジョッキーにとっても祭典である。昨年デビューした今村聖奈騎手は騎手になる前、一ファンとしてJBCを楽しんでいた。

「初めてJRAの競馬場で開催された2018年に京都競馬場にJBCを見に行きました。あまりにもお客さんが多くて、父に『埋もれちゃうんじゃないか』と心配されたほどです。1日にGI/JpnIがいくつも行われるのは日本では他にないので、外国の競馬みたいな感じでずっと盛り上がっていたのを覚えています。

 私は武豊騎手のファンで、JBCスプリントでマテラスカイを応援していたんですけど、勝ったと思ったところでグレイスフルリープに差されて。すごく鮮明に覚えています」

 その5カ月後、競馬学校に入学し、競馬を見る視点に変化があった。

「学校生になってから、地方競馬にもすごく興味を持ちはじめました。厩舎実習中に乗っていた未勝利馬が地方競馬に移籍して何勝か挙げてJRAに帰ってきたり、『この馬の背中、いいな』と思っていた馬が地方競馬に行って頑張っているのを見るようになってからは、JBCでも地方馬を意識的に見るようになりました。

 私が所属する寺島良厩舎にいたテルペリオンは地方競馬の上のクラスで頑張っていましたし、今だとジュランビルが地方競馬で重賞を勝っています。選定されていたJBCレディスクラシックは回避したようですが、気になって調べますね。JBCクラシックでミックファイアが回避してしまったのは少し残念ですけど、ダート戦線がすごくアツくなっている中で、地方馬とJRA馬の差も縮まっていると思います」

 今年のJBCが開催される大井競馬場と門別競馬場での騎乗経験はないが、それぞれに思い入れはある。

「門別競馬場には今年の夏、ヤングジョッキーズシリーズ・トライアルラウンドに出場していた同期を応援しに行きました。思っていた以上に直線が長くて、広くて乗りやすい競馬場なんだろうな、という印象を抱きました。スタンド内にある『いずみ食堂』のお蕎麦もすごく美味しかったです。すぐに私だとバレたんですけど、お店の方にもよくしていただきました。ジンギスカンも食べてみたいと思いました。来年くらいは大人数で行って、みんなで食べたいです。

 JBCクラシックには寺島厩舎のキングズソードが出走予定なので、応援に行こうと思っています。大井競馬場に行くのは初めてなので、今から楽しみです。今開催から大井競馬場の砂は門別や船橋、園田と同じオーストラリア産に替わったと聞きました。船橋と園田で経験したことがありますが、サラサラしていて、雨が降っても前が見えにくくなることが少ないと思います。レース前に馬場を歩くと、『ここは重たそうだな』と分かりやすい砂質じゃないかな、と個人的には感じています」

 最後にJBCへ向けてファンへメッセージをいただいた。

「1日に大レースがいくつも行われるのは日本ではJBCだけです。出走するメンバーもダート戦線を引っ張っている馬たちで、その中で馬場の得意不得意や、枠の有利不利もあると思うので、それらも含めて競馬を楽しんでもらえたらと思います」

(文・大恵陽子)