北海道の鈴木直道知事は27日、札幌市の秋元克広市長と道庁で会談し、冬季五輪・パラリンピックの招致活動について「いったん立ち止まったうえで、開催の意義や効果を踏まえて、今後の招致のあり方を皆で議論していくことが必要ではないか」と述べて、休止…

 北海道の鈴木直道知事は27日、札幌市の秋元克広市長と道庁で会談し、冬季五輪・パラリンピックの招致活動について「いったん立ち止まったうえで、開催の意義や効果を踏まえて、今後の招致のあり方を皆で議論していくことが必要ではないか」と述べて、休止と再考を求めた。2014年以来、道は市と連携して招致をめざしてきたが、活動休止を求めたのは初めて。東京大会汚職の影響で市民の支持は広がらず、30年、34年の両大会の招致の実現性はほぼなくなっている。

 秋元市長はこの日、11月末の国際オリンピック委員会(IOC)理事会では30年と34年の両大会の開催都市が絞り込まれる可能性が高く「札幌の情勢はたいへん厳しい」と説明。「38年大会以降については改めて関係自治体と協議したい」と述べた。鈴木知事は38年以降は、持ち回り開催となる可能性があることも踏まえ、「仮に38年以降となるといまの計画を大幅に見直していくことになる」と指摘し、活動休止を求めた。

 五輪招致への逆風が続くなか、市は全国有数の支持率を誇る鈴木知事の発信力に期待を寄せていた。大会計画には「北海道・札幌」と明記するなど秋波を送っていた。しかし、知事は昨秋以降、招致活動とは距離を置き始めた。副会長に名を連ねる招致に向けたプロモーション委員会は公務を理由に欠席。定例会見でも慎重な物言いが目立つようになっていた。道幹部も「秋元市長でなく鈴木知事が表に出て招致すればいいのにとよく言われるが、IOCと開催都市契約を結ぶのは札幌市。北海道は傍観者だ」と突き放していた。(日浦統、長谷川潤)