専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第115回 地球温暖化のせいで森の食べ物が減ってしまったのか、最近ゴルフ場で出会う動物たちが増えている気がします。いい迷惑なときもありますが、微笑ましい光景を目の当たりにするこ…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第115回

 地球温暖化のせいで森の食べ物が減ってしまったのか、最近ゴルフ場で出会う動物たちが増えている気がします。いい迷惑なときもありますが、微笑ましい光景を目の当たりにすることも……。今回はそんなお話をしたいと思います。

 日本のゴルフ場において、出会う生き物のナンバー1は、なんといってもカラスでしょう。全国的に生息しており、その行動は実に滑稽です。

 2年前、沖縄で開封前の『キットカット』を箱ごと持っていかれました。くちばしでつついて箱をあけて、チョコレート三昧です。カラスは実に器用ですね。

 先日も関東で、友人がおにぎりを持っていかれました。ラッピングしたままだったのですが、ちょっと離れたところに持っていき、丁寧にラップの包装を解いて優雅に食べていました。包みを開くのは、意外と人間よりもうまかったしりして……。

 カラスの被害が多いゴルフ場では、当然モノ入れにはフタがあって、きちんとガードしています。でも、プレーに夢中になっていると、ついついカゴの外にモノを置いたままにしてしまうことがあるんですよね。

 カラスのいたずらと言えば、昔は白いボールを卵と間違えて持っていった、なんて話をよく聞きました。しかし今や、そんな話は皆無です。1年中ゴルフ場にいるカラスは、さすがに「あれ(ボール)は卵ではない」と学習したのでしょう。

 代わりに……と言ってはなんですが、食べモノを狙ったけど、何もなかったとき、それにむかついたカラスがその腹いせに、携帯電話を持っていくケースがままあります。

 スマホは大きくてつかみどころがないため、わりと安心ですが、小型でストラップがついている昔ながらのガラケーは、結構狙われやすいです。私は、スマホとガラケーの2台持ちですが、いつもキャディーバッグの中に入れて、しっかりガードしています。みなさんも、ぜひお気をつけて。

 どこに行ってもよく見るカラスのお話のあとは、なかなかお目にかかれない動物たちとの遭遇エピソードについて紹介しましょう。

 まず、北海道に行くと、よく見かけるのはキタキツネです。最初はすごく感動して、出会った瞬間、携帯電話のカメラでその姿を夢中になって撮っていたものです。

 映画『キタキツネ物語』のイメージでしょうか。それに、『ムツゴロウ動物王国』とテレビドラマ『北の国から』の情景も合体させて、メルヘンな世界を頭の中で描くわけですね。

 けど、最近は北海道のゴルフ場に行くたんび、キタキツネに出会います。人間なんて非情なもので「なんだよ、そんなに珍しくないじゃん」と、すぐに興ざめしてしまいます。

 しまいには、エサをもらうことに慣れたキタキツネに出くわして、これがまったく逃げない。むしろ、寄ってくるんですよ。挙句の果てには、お茶屋の前で”出待ち”までしていましたからね。ほとんどテーマパークのアトラクション化していて、それには笑えました。

 感激した動物と言えば、鹿もそうですね。今度は頭の中にスタジオジブリの『もののけ姫』が浮かんできて、「鹿はシシ神さまと一緒に住んでいるんじゃ~」って想像を巡らしたりして、その姿を見たときは神秘的にさえ感じます。

 北海道で出会ったときは、結構な団体で目の前を通っていって、それが夕方だったこともあり、荘厳な雰囲気に包まれました。それで、しばしプレーを中断しましたから。今思い出しても、あの光景は感動的でしたね。

 鹿は本州でも生息しており、先月、山梨県の河口湖カントリークラブでプレーした際には、バンビが軽やかにコース内を散歩しておりました。あと、埼玉県のゴルフ場でも妙に人懐っこい鹿に出くわし、2ホールぐらい一緒に”同伴プレー”をしてくれました。小鹿だったので、たぶんお腹がすいていたんでしょうね。

 鹿から見れば、もともと自分たちの住んでいる場所がゴルフ場になっただけ、ということなのでしょう。うまく共存したいものです。

 以前、ゴルフ場で小さな命を救ったときは、とてもいいことをした感がありました。千葉県の某ゴルフ場で、次のティーグラウンドに着くや、カラスが2羽、何かをつついていたんです。動物の死骸かと思って近寄ってみると、何やら動いているではないですか。

 得体の知れない小動物は全身傷だらけで、カラスから相当な攻撃を受けたのでしょう。どれどれと手にとってみると、「シャ~」と唸って威嚇してきました。「なんだよ、おまえを助けてやったのに」と思いつつ、仕方がないので帽子の中に包んで、水をあげてみました。

 すると、ごくごくと水を飲むではありませんか。最初、野良猫かと思っていたのですが、その姿をよく見ると、狸の子どもだったのです。「これは何とかしないと」と思って、数ホールは帽子の中に入れたまま、水を与えて移動していきました。

 その間、子狸はかなり弱っていましたから、ほとんど寝ている状態でしたね。その後、キャディーマスター室に連れていって、ミルクを与えて保護することに。いやぁ~、我ながら善行をしたな、と思いましたね。



さまざまな動物がいるゴルフ場。ときには思わぬ出会いもあります...

 一方、海外に目を向けると、日本では考えられないような動物に遭遇します。

 マレーシアのゴルフ場じゃあ、巨大トカゲがのしのしとコースを歩いていました。これは、もはや『世界の果てまでイッテQ!』のイモトアヤコ状態です。相当ビビリました。

 タイじゃあ、バンカー内に野犬が数匹寝そべって、自分の土地だと主張していました。地元のキャディーに追い払うように言っても、「無理、無理、怖くて近づけない」とお手上げ状態。しかも、寄っていくと吠えるから始末に負えませんでした。

 結局、そのバンカー周辺はノーペナ扱いで打ち直し、ということにしました。お犬様には勝てません……。それこそ、打ち込んだら大変なことになりそうでしたから。

 そうそう、バリ島のゴルフ場ではブッシュの中で何やら動く物体を発見しました。凝視してみると、それは木の枝を体に巻きつけたロストボールの売り子でした。見つかったらコース側に怒られるから、こっそり迷彩を施してお客が来たらボールを売っていたんですね。

 いやぁ~、出会ったときは参りましたよ。だって、最初はゲリラかなんかと思って、かなりびっくりしましたから。

 夢の国、アメリカ・オーランドのディズニーワールドのゴルフ場もすごかったですね。ここはおとぎの国だからって、バンカーがミッキーマウスの形をしていてオサレです。

 しかし、ルンルン気分でゴルフをしていたら、ブッシュへ打ち込んでしまいました。仕方なくボールを探しに行ったら、そこは湿地帯。つまり、ディズニーワールド全体が、沼地みたいな場所を埋め立てて造ったことがわかった次第ですが、ちょっと気味が悪かったですね。なんか、ワニが出そうで……。そう思って、そのときはボールを探すことなく、そそくさと引き上げていきました。

 あれから十数年が経って最近、ディズニーワールド園内の湿地帯でワニが出たという騒ぎがありました。そうか、やっぱりあのときの勘は正しかったんだな、と思いました。たぶん、あのときもワニとか、プレデターとか、いたのかもしれません。そう思うと、ちょっとぞっとしますね……。

 ゴルフは楽しいですが、知らない土地でのボール探しでは、深入りは禁物です。犬がいたら目を合わさず、トカゲがいたら通り過ぎるのを待ちましょう。

「これぞ、シャッターチャンス!」と思って、スマホで動画なんて撮ろうとしないことです。ほんと、敵もスピーディーですから、要注意ですよ。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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