川崎市に本拠を置く卓球・Tリーグ女子の「木下アビエル神奈川」が、2連覇に向けて好位置につけている。地域密着にも力を入れており、チーム強化との両輪が回り始めている。 「家族と! 友達と! Tリーグへ遊びに行こう!」 18日、JR川崎駅前でこ…

 川崎市に本拠を置く卓球・Tリーグ女子の「木下アビエル神奈川」が、2連覇に向けて好位置につけている。地域密着にも力を入れており、チーム強化との両輪が回り始めている。

 「家族と! 友達と! Tリーグへ遊びに行こう!」

 18日、JR川崎駅前でこんなチラシを通行人に配ったのは木下アビエル神奈川の木原美悠選手(19)と、同じく木下グループが運営する男子の木下マイスター東京の3選手だ。

 28、29の両日に両チームが臨む主催試合の告知が目的だった。チラシを差し出しても素通りされ、「ああ、知名度低い!」と苦笑する選手たち。「応援しています」「頑張って」と声をかけられると、「ありがとうございます!」と笑顔がはじけた。

 木下アビエル神奈川は昨季、日本生命の連覇を4で止め、初めて年間王者に輝いた。

 今季は、長く日本の女子卓球界を引っ張ってきた石川佳純さんが引退して抜けたものの、代わりに主将になった平野美宇選手(23)、世界トップクラスに成長した木原選手、張本美和選手(15)、長崎美柚選手(21)ら若手が躍動し、ここまで5戦5勝で、日本生命と首位を争っている。

 今年7月に開幕した6季目のTリーグの課題は、ファン獲得だ。人気を広げていこうとした時期がコロナ禍と重なり、観客制限を強いられたのが響いた。

 制限が緩和されても伸び悩み、昨季の1試合あたりの平均観客数は690人。来夏のパリ五輪を見据えて国際大会を優先し、リーグ戦に出場できない主力選手が多いことも、ファン目線で言えばデメリットだ。

 ファンを取り込むために地域に根ざそうと、木下アビエル神奈川では卓球教室を開いたり、小学生からシニア世代まで出場できる市民大会を主催したりしている。チラシ配りは昨年に続いて2回目の試みだった。

 地域密着の活動に好成績が重なり、少しずつファンを取り込み始めている。広報担当者によると、コロナによる制限が残っていた昨季序盤に200~300人だった1試合あたりの観客数は、最近、1千人前後に伸びているという。

 木原選手が言う。

 「ちょっとずつお客さんが増えている気がする。応援で声も出せるようになって、みんなが私たちと一緒に戦ってくれている感じでうれしいです」

 木下アビエル神奈川は28日午後5時半から日本ペイントマレッツと、29日午前11時から京都カグヤライズと、いずれも川崎市のカルッツかわさきで対戦する。(鈴木健輔)