11月5日に開催される全日本大学駅伝(日本学生陸上競技連合、朝日新聞社など主催、長谷工グループ特別協賛)に、東北地区代表として東北学院大が出場する。力のある下級生の加入をきっかけにチームは底上げされ、13大会ぶりの伊勢路の切符をつかんだ。…

 11月5日に開催される全日本大学駅伝(日本学生陸上競技連合、朝日新聞社など主催、長谷工グループ特別協賛)に、東北地区代表として東北学院大が出場する。力のある下級生の加入をきっかけにチームは底上げされ、13大会ぶりの伊勢路の切符をつかんだ。

 9月24日に宮城県名取市で行われた東北地区選考会。16キロと10キロの部を各校4人ずつ走り、8人の合計タイムで争われた。

 東北学院大の強さが示されたのは16キロの部。序盤から先頭を引っ張ったのは1年生の新美和哉選手だ。

 「全体的にペースが遅かったので前に出た」と新美選手。積極的な走りを見せ、最後は山形大の選手に競り勝って1位でフィニッシュ。吉田奏斗選手(1年)、斎藤颯希選手(2年)もライバルの東北大の4選手よりも先着し、このレースの終了時点で東北大に5分以上の差をつけた。

 新美選手は全国高校駅伝の常連、仙台育英高出身。高校時代は選手層が厚く、駅伝とは縁がなかった。だが、東北学院大の中ではトップクラスの走力を誇る。東北高出身の斎藤選手も東北インカレで5000メートルと3000メートル障害で2年連続優勝するなど力がある。

 先輩に遠慮はない。斎藤選手は「練習でも積極的に引っ張っていくという気持ちでやっている」と話し、練習で遅れている上級生がいたらあえて厳しい言葉で鼓舞しているという。横田優志主将(3年)は「下級生ばかりに負けてられない。彼らに引っ張られるように3年も4年も力をつけてきた」と力強く話す。

 下級生と上級生の力の差が逆転すると関係悪化が懸念されるが、心配は無用だ。学年に関係なく練習が終わると食事に行き、休みのときは日帰り旅行にも出かける。斎藤選手は「すごくチーム内の雰囲気はいい。厳しいところは厳しく、緩いところは緩く。いいバランスがとれていると思う」と穏やかに語る。

 2010年の第42回大会以来となる久々の伊勢路だ。北目秀哉監督は「我々は初出場みたいなもの。失敗を恐れずに走って欲しい」。来年以降も主力は残る。全国トップ校に食らいつき、チームの成長につながるレースを期待したい。(辻隆徳)