木村和久の「新・お気楽ゴルフ」連載◆第31回 最近は、ゴルフ場の乗用カートにナビゲーションボードがついていることが多く、残り距離がわかってとても便利です。一方、ハンディ型の距離測定器もお値頃の商品が出回るようになって、使用されている方が随分…

木村和久の「新・お気楽ゴルフ」
連載◆第31回

 最近は、ゴルフ場の乗用カートにナビゲーションボードがついていることが多く、残り距離がわかってとても便利です。一方、ハンディ型の距離測定器もお値頃の商品が出回るようになって、使用されている方が随分と増えました。

 これで、打つ距離がわかってスコアアップ! と思いきや、それがなかなかどうして......。現実はそう簡単にはいかないようです。

 そこで今回は、ゴルフの距離測定と距離感について、あれこれ考えてみたいと思います。



こんなふうに使っている方はいませんが、アマチュアゴルファーにとって距離測定器は必需品になりつつあります。illustration by Hattori Motonobu

(1)正確な距離がわかったとしても...
 乗用カートのナビゲーションボードの距離表示は、かなり正確に表示されるようになりました。そのうえ、多くの方が距離測定器を持っているのですから、鬼に金棒でしょう。

 同伴メンバーや周りでプレーしている人を見てみると、距離測定器の使用率はおおよそ2人にひとりは持っている感じでしょうか。全体としてまだまだですが、ベテランゴルファーにとっては必需品になりつつあるようです。

 その結果、正確な残り距離がわかるようになりましたが、スコアは? というと、昔とさほど変わりません。

 これはいったい、どういうことなのか?

 残りの距離がわかっても、ちゃんと打てるかどうかは別問題、ということです。

 では、残り距離を把握してから、我々はどのように打っているのか。その段取りを考察してみたいと思います。

(2)距離がわかってからの段取り
 たとえば、残り距離がピンまで100ヤードとします。それで、そのまま100ヤードをスコンと打つ場合もありますが、多少ゴルフを覚えると、そこからさらに周囲の状況を読み取り、必要な情報を足します。

 まず、ピンの位置を見ます。ナビボードからカップをきってあるのがグリーンの手前か、奥かを確認。そこから、グリーンまでの高低差、風向き、ボールのライなどを考慮します。

 そうして、ややアゲインストの風で、かつ少しグリーンまで上っているとなったら、少し強めに110ヤード打つとしますか、となります。

 ここまでが段取りの半分で、次はギアの選択です。9番アイアンのフルショットで打つか、いや、芝が薄いので払うようにUTの7番で打つか、などと番手と打ち方を決めて、やっとクラブを握ります。

 こういう段取りはゴルフ漫画でよく見かける描写ですが、アマチュアゴルファーはなかなかどうして......。うまくいく時もあれば、考えて打ったわりにはシャンクしてOBになったりして。だったら、距離測定器以前の問題じゃんってことが多々あります。

 段取りはそれぞれ自由です。その日の調子によって、細かい部分を計算してやるか、緩くやるかを決めたほうがいいです。

(3)距離測定器を購入しないワケ
 ピンまでどれぐらいの距離があるのか? 特に100ヤード以内、なかでも60~80ヤード辺りは、ぜひ正確な距離を知りたいところです。こういう時こそ、距離測定器が一番活躍するかもしれません。

 だったら、買えばいいじゃん――何度、そう思ったことか。けど、いろいろと理由があって、現在は購入するのをためらっています。

 私の場合、残り70ヤード程度を打つとなったら、寄せのクラブを2本、加えてグリーン手前のバンカーに入れる可能性も考えてサンドウェッジ、さらにそのままグリーンへ行くのでパターと、計4本のクラブを持っていきます。ほんと、心配性ですみません。

 こうなると、そのうえ距離測定器まで持って、もしくは腰にぶら下げてラウンドするのは、ちょっと億劫になってしまうんですよね。

 今は近眼かつ老眼で、常時メガネを使用しています。だから、距離測定器を使って、メガネが汚れる、あるいは、いちいちメガネを外して測定器を見る、といった行為もしんどいのです。

 距離測定器にはウォッチ型もありますが、文字が小さくて読めません。音声を読み上げるタイプがあればいいのかな?

(4)50ヤード以内の距離感
 よく40ヤードぐらいの距離でも、測定器で測っている人を見かけます。人それぞれやり方があるので自由ですけど、距離感を養うにはちょうどいい距離なので、たまには直観で打ってみるのもアリかと。

 そもそも一般的なアマチュアゴルファーは、1ヤード刻みでアプローチショットを打つことなどできませんからね。50ヤード以内はワンピンぐらいに寄せ、2パットで上がれば上出来じゃないですか。

 だいたい、そこまでしっかり距離を測った挙句、チャックリなんてことも......。"ゴルフあるある"の世界にハマッている人が結構います。

 50ヤード以内こそ、距離感を養う絶好の機会と認識してほしいです。どういうことかというと、こんな実験を聞いたことはないですか?

 まったくゴルフをやったことのない人にゴルフボールを持たせて、30ヤード先のピンに寄せろと言って、ボールを放り投げさせます。すると、これが案外、ワンピン以内に寄ったりするのです。

 つまり、人間が本来持っている距離認識能力というのは、かなり高いのです。

 ということで、50ヤード以内の短い距離は自分の目を信じたほうがいいと思います。あくまで、個人的な意見ですけど。

(5)距離測定器は時間短縮になるのか
 ある調査によると、シングルクラスのトップアマが距離測定器を使ってラウンドした場合、1ラウンドで平均30分弱の時間短縮ができたそうです。というのも、ヤーデージ表を見たり、歩測したりする手間が省けるからなんですね。

 じゃあ、アベレージアマはどうでしょうか? たぶん、大して時間は変わらないと思います。だって、叩き出したら、距離測定器なんか見ないで、ボール探しに忙しいでしょ。

 距離測定器の使用は、ラウンドに余裕のある人には効果があります。片や、ショットに余裕のない人には、単にひと手間加える面倒な所作になりかねません。

(6)距離感から"距離勘"へ
 というわけで、現在自分のゴルフは距離感というか、"距離勘"みたいなものでゴルフを楽しんでいます。今は慣れというか、勝手に体が反応して、だいたいの距離を割り出して、それで適当に打っています。

 これが、自分の"ゴルフコンピューター"が勝手に計算してくれる、と言えばカッコいいのですが、いちいち細かい計算をするのが面倒くさいだけなのかもしれません。

 以前、パターを打つ時はしっかり歩測して、10mの下りだから実際は半分の5mを打つ、なんてことをやっていたのに、今は構えたらサッとパットを打って終わりです。

 それでも、そこそこ寄るようになりました。30年以上ゴルフをやっていれば、何か体に染みついたものがあるのでしょう。

 それで、たまに80台が出れば幸せです。

 ゴルフは難しく考えるとキリがないです。シンプルに、そして楽しく、ストレスを溜めずに、むしろ発散する方向でラウンドしたいものですね。