米ツアーZOZOチャンピオンシップは19日、千葉県のアコーディア・ゴルフ習志野カントリークラブ(7079ヤード、パー70)で開幕する。2019年に日本でスタートしたPGAツアーも今回が5回目。同大会は2020年はコロナの影響で米国が舞台とな…

米ツアーZOZOチャンピオンシップは19日、千葉県のアコーディア・ゴルフ習志野カントリークラブ(7079ヤード、パー70)で開幕する。2019年に日本でスタートしたPGAツアーも今回が5回目。同大会は2020年はコロナの影響で米国が舞台となったが、それ以外の大会はすべて習志野CCで開催されてきた。

記念すべき第1回大会である2019年大会はタイガー・ウッズが松山英樹との首位争いを制し、21年大会は松山が優勝。2022年大会は日本にもファンが多いリッキー・ファウラーが1打差の2位タイに入るなど、これまでの大会は日本に多くのファンがいる選手が盛り上げてきた。

今回は日本ツアーで最も多くのファンを抱える石川遼に期待したい。今季はまだ優勝はないが、先週の日本オープンで2位に入り上昇ムード。さらに、今季のショット関連のデータは2020-21、2022シーズンに比べて高水準で、過去出場したZOZOチャンピオンシップよりも期待できる。

◆石川遼はなぜ“全ドラ”で日本オープンを攻められたのか…スタッツから見えた自己最高の安定感と自信

■日本オープン2位で出場資格獲得

石川はスポンサー推薦で出場できる可能性はあったが、自力での出場資格獲得は黄色信号がともっていた。しかし、土壇場で石川らしいプレーを披露。日本オープンで2位に入ったことで、賞金ランキング7位に浮上した。それにより、日本オープン終了時点での賞金ランキング上位8名までの選手に与えられる出場資格を滑り込みで獲得した。

日本オープンでは欧州ツアーを主戦場にしている岩﨑亜久竜に接戦の末敗れたものの、随所に光るプレーが見られた。

最終日の優勝争いの最中、14番ホールパー3ではティーショットでピンそばにつけるスーパーショットを放った。このホールはグリーン左はすぐ池で、ピンはグリーン左端に切られており、ピンを狙うのは相当なリスクを伴う。

トップを僅差で追う展開。大きなプレッシャーがかかるピンポジション。緊張感が高まる状況で繰り出した会心の一打は、今季これからの活躍を予感させるものとなった。

また、このショットに限らず大会を通じてショットが安定。パーオン率は73.611%を記録し4位タイ。それをバーディ以上4位タイ、パーキープ率2位につなげた。

■今季のショットデータ向上

シーズンを通して見てみても、今季の石川は昨季までとは一味違ったプレーをしていることがわかる。パーオン率が向上。結果、より多くのバーディを獲得できるようになった。

フェアウェイキープ率の順位は下位だが、フェアウェイキープ率順位とドライビングディスタンスを合算した値のトータルドライビングは19位タイとまずまずの順位で、過去2シーズンと比べるとわずかではあるが向上している。

大きく向上しているのがパーオン率とバーディ率。今季のパーオン率は6位でバーディ率が4位。パーオン率が22位でバーディ率が35位だった昨季と比べると、多くのバーディチャンスをつくり出し、そのチャンスをものにしていることがわかる。

ドライバーショットのスタッツよりもパーオン率のスタッツの方が大きく向上しているということは、ドライバーショットよりもアイアンショットの精度が向上したと見ることができるが、そうとは言い切れない。

ドライバーショットに対する不安が軽減されてきていることで、ティーショットでドライバーでのショットを選択するホールが増えていることが考えられる。

基本的にはフェアウェイウッドよりもドライバーの方がフェアウェイキープ率は下がる。だが、トラブルになるほどの曲がりでなければ、ラフからピンを狙うショットを強いられても、ピンポジション次第では、残り距離が短くなるドライバーで攻めたほうがスコアメイクしやすくなる。

「曲がったとしても許容範囲にとどまるはず」石川は今季、そのような自信を持って課題のドライバーショットに臨めているのではないだろうか。

石川遼 ショットスタッツ 順位

■米ツアー復帰の足がかりつかむ

石川は過去にZOZOチャンピオンシップに出場経験がある。19年大会と20年大会だ。20年大会は米国開催だったため、習志野CCでの同大会は2回目ということになる。

19年大会は初日7位タイと、上位進出を狙える位置でスタートしたものの、2日目以降順位を落とし、51位タイフィニッシュ。悔しい結果となった。

石川は17年まで米ツアーを主戦場にしており、米ツアー復帰意欲が高い。そのために“米ツアーで戦えるスイングとショット精度”を求め、目先の結果を過度に求めずにスイングを改造してきた。

今回も習志野CCには、ザンダー・シャウフェレやコリン・モリカワ、ディフェンディングチャンピオンのキーガン・ブラッドリーなど、世界のトッププレーヤーが習志野に集結する。石川にとって米ツアーとの距離が測れる貴重な舞台となる。

ショットに手ごたえを感じている上昇ムードの石川。19年大会と、先週の日本オープンの悔しさを晴らせるか。そして、4年ぶりの習志野CCで米ツアー復帰の足がかりをつかめるか。

石川の予選ラウンドのペアリングは米ツアーを代表する飛ばし屋キャメロン・チャンプと、7月のバラクーダ選手権で米ツアー初優勝を遂げた21歳の新鋭レフティー、アクシェイ・バティア。要注目だ。

石川遼、過去のZOZOチャンピオンシップ成績

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◆石川遼のシャフトが「6S」って!? スピンの入るドローを求めて

◆池を向いたウィニングショットのワケ 岩崎亜久竜「遼さんを応援している人も多くて…」

著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。