10月15日(日)、京都競馬場で3歳牝馬によるGⅠ秋華賞(芝2000m)が行なわれる。 今年の秋華賞は3年ぶりに京都競馬場で行なわれるが、過去2年の阪神開催のレースも右回りの芝2000mという条件は変わらず、血統的傾向も大きな変化がなかっ…

 10月15日(日)、京都競馬場で3歳牝馬によるGⅠ秋華賞(芝2000m)が行なわれる。

 今年の秋華賞は3年ぶりに京都競馬場で行なわれるが、過去2年の阪神開催のレースも右回りの芝2000mという条件は変わらず、血統的傾向も大きな変化がなかったので、近2年の傾向もふまえつつ、血統的視点から占っていきたい。



桜花賞、オークスを制したリバティアイランド

 直近3年の秋華賞の血統的傾向で目立つのが、キングカメハメハの血を持つ馬の強さだ。2020年デアリングタクト(母の父キングカメハメハ)、2021年アカイトリノムスメ(母の父キングカメハメハ)、2022年スタニングローズ(父キングカメハメハ)と、この血を2代目までに持つ馬が3連勝。さらに、昨年の3着馬スターズオンアース(父ドゥラメンテ、父の父キングカメハメハ)、2021年の3着馬アンドヴァラナウト(父キングカメハメハ)もこの血を持っていた。

 近年の牝馬3冠レースは特にキングカメハメハの血の強さが目立っており、ドゥラメンテ産駒のスターズオンアース、リバティアイランドが2年連続でGⅠ桜花賞とGⅠオークスを勝利。今年は、桜花賞で6番人気のコナコースト(母の父キングカメハメハ)が2着、オークスで15番人気のドゥーラ(父ドゥラメンテ)が3着に入るなど、人気薄馬の健闘も目立っている。キングカメハメハが秋華賞における最注目の血統と言って間違いないだろう。

 今回の大本命は、そのキングカメハメハを父の父に、ドゥラメンテを父に持つリバティアイランド(牝3歳、栗東・中内田充正厩舎)だ。

 桜花賞を4角16番手からの差し切り、オークスでは6番手追走から6馬身差をつける圧倒的な内容で勝利。「牝馬三冠レース」の二冠を達成し、残すは秋華賞のみ。3歳牝馬の枠にとどまらず、古馬のトップクラスであるイクイノックスなどとの対戦が注目されるほどの存在だ。

 今回はオークス以来約5カ月ぶりの出走となるが、桜花賞は4カ月ぶりで勝利したように、休み明けは苦にしないタイプだ。近年の"春2冠馬"は、昨年のスターズオンアースこそスタートで出遅れて3着に敗れたが、2018年アーモンドアイ、2020年デアリングタクトと、オークスからのぶっつけで秋華賞を制しており、「三冠ローテ」として定着している。牝馬三冠、GⅠ9勝のアーモンドアイ級の強さを見せているので、普通に走れば三冠達成の可能性は高い。

 リバティアイランドは血統も優秀で、母ヤンキーローズは豪州の2歳牝馬&3歳牝馬チャンピオン。1400mと2000mのGⅠを勝ったように距離適性は幅広く、2000mはもちろん問題ない。祖母コンデサールは、アーモンドアイ(父ロードカナロア)の4代母であるベストインショウ3×4のクロスを持っていて、父の父キングカメハメハも共通。配合も興味深く、今後がさらに楽しみになる走りに期待したい。

 もう1頭もキングカメハメハを持つ馬から「穴っぽい馬」としてドゥアイズ(牝3歳、栗東・庄野靖志厩舎)を挙げる。

 同馬は重賞勝ちがない1勝馬だが、GⅢ札幌2歳Sでドゥーラに次ぐ1馬身差2着、GⅢクイーンCでハーパーに次ぐクビ差2着、GⅠ阪神ジュベナイルフィリーズで勝ち馬リバティアイランドから0秒4差の3着と重賞戦線で接戦を繰り返しており、桜花賞も5着に入った。オークスでは9着と敗れたが、レース前からイレ込んで出遅れ、道中も折り合いを欠くなど、まったくリズムに乗れない競馬となってしまった。見直していいだろう。

 父ルーラーシップは芝2000mの香港GⅠクイーンエリザベス二世C勝ち馬。これまでにGⅠ菊花賞のキセキ、GⅠ朝日杯フューチュリティSのドルチェモアなど、2頭のGⅠ馬を含む20頭がJRA重賞を勝っているが、そのうちの6頭が母の父ディープインパクトという血統。さらに、その6頭の血統表の奥を見ると、そのうちのエヒト、キセキ、ビッグリボンの3頭が、ドゥアイズも持っているダンチヒの血を持っている。重賞勝ち馬のパターンに当てはまるだけに期待したい。

 以上、今年の秋華賞はドゥラメンテ産駒リバティアイランド、ルーラーシップ産駒ドゥアイズの、キングカメハメハ系2頭に注目する。