第88回日本オープンゴルフ選手権が12日に開幕する。今回の会場は名匠、井上誠一氏が設計し、2011年に世界的名設計家リース・ジョーンズ氏が改造を行った大阪府の茨木カンツリー倶楽部・西コースだ。昨年大会は、プロ入り前だった蝉川泰果が一度も首位…

第88回日本オープンゴルフ選手権が12日に開幕する。今回の会場は名匠、井上誠一氏が設計し、2011年に世界的名設計家リース・ジョーンズ氏が改造を行った大阪府の茨木カンツリー倶楽部・西コースだ。

昨年大会は、プロ入り前だった蝉川泰果が一度も首位を譲らず完全優勝。第1回大会の赤星六郎以来となるアマチュア優勝を達成した。今回優勝すれば、アマ、プロでの連覇となるだけでなく、賞金ランキングトップに躍り出る可能性がある蝉川や、通算5勝の内2勝が日本オープンで、先週のACNチャンピオンシップで優勝している好調の稲森佑貴が今大会で注目するべき選手としてあげられる。

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さらに、欧州ツアー初制覇をとげた久常涼や、ACNチャンピオンシップで優勝争いに加わるなど復調の兆しが見え、日本オープンを2度制している池田勇太にも、要注目だ。

そんな中、最も注目するべき選手として、13年のマスターズチャンピオンで元世界ランキング1位のアダム・スコットがあげられる。

今年43歳になったスコットは優勝こそ20年2月のジェネシス・インビテーショナルから遠ざかっているが、世界のトップで戦える力は健在。世界ランキングは現時点で41位。これは出場選手中最上位だ。

■今季米ツアー17戦で15回予選通過

スコットは今季米ツアー17戦で15回予選を通過し、トップ10が4回。8月のウィンダム選手権では最終日7アンダーをマークし、7位タイ。この時点でのフェデックスカップランキングは72位となった。

今季は70位以内に出場資格が与えられるプレーオフシリーズには進むことができなかったが、まずまず安定感ある戦いぶりを見せた。

9月の欧州ツアーアイルランドオープンでは予選落ちを喫したが、翌週、同じく欧州ツアーのBMW PGA選手権では7位タイに入った。調子はまずまずの状態で日本に来ていると見て良いだろう。

■日本オープン トップ10率50%

スコットはこれまで6回日本オープンに出場。内3回トップ10に入っており、トップ10率が50%。安定感が光る。

さらに、今回の茨木カンツリー倶楽部・西コースは不思議と外国人選手と相性が良い。同コースでは過去2回日本オープンが開催されているが、その2回とも外国人選手が優勝しているのだ。

73年大会はフィリピンのベン・アルダが青木功と激戦の末優勝した。96年大会はアメリカのピーター・テラベイネンが優勝し、2位にはフィリピンのフランキー・ミノザが入った。

最近の米・欧ツアーや過去の日本オープンでの安定感。茨木カンツリー俱楽部・西コースと外国人選手の好相性。今年の日本オープンは、“アダム・スコットの大会”になっても不思議ではない。

A.スコット過去の日本オープン結果

■米ツアードライビングディスタンス12位

スコットの特筆するべきポイントとして43歳になった今も衰えない飛距離があげられる。ドライビングディスタンスは313.4ヤードで12位。世界トップレベルを誇る。

クラブヘッドスピードは121.09マイルで20位。米ツアー平均115.11マイル(約51.46メートル)を大きく上回っている。ちなみに121.09マイルをメートル(毎秒)に換算すると約54.13メートルとなる。

また、アプローチショットの精度も高い。50~75ヤードからのショットの精度は米ツアー1位で平均約2メートル40センチにつける。ラフからの同距離は3位で平均約4メートル10センチにつける。

昨年の日本オープンでも、その飛距離と精度が高いショットを見せていた。大会4日間のドライビングディスタンスは303.25ヤードで8位。パーオン率は72.222%で1位だった。パットが噛み合えば、蝉川に迫っていただろう。

スコットのウェア契約は「ユニクロ」。そして使用アイアンは「三浦技研」。日本と縁があるスコットは、日本のナショナルオープンのトロフィーを掲げられるか。

予選ラウンドは蝉川、金谷拓実と同じ組。10月12日11時35分にティーオフだ。

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著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。