高校野球で歴代最多とされる通算140本塁打を放ったプロ注目の強打者、花巻東(岩手)の佐々木麟太郎(りんたろう)内野手(3年)が10日、卒業後は米国の大学に留学する意向を表明した。 この日行われた鹿児島国体の高校野球競技(硬式)の1回戦で履…

 高校野球で歴代最多とされる通算140本塁打を放ったプロ注目の強打者、花巻東(岩手)の佐々木麟太郎(りんたろう)内野手(3年)が10日、卒業後は米国の大学に留学する意向を表明した。

 この日行われた鹿児島国体の高校野球競技(硬式)の1回戦で履正社(大阪)に敗れた後、「最後の最後まで悩んだが、現段階ではプロ志望届を出さずに、米国の大学に行くことを考えている」と明言した。進学先は未定という。

 プロ志望届の提出期限が12日、ドラフト会議が26日に迫っていた。プロ志望届を提出していれば1位で指名される可能性がある選手が海外の大学に留学するケースは珍しい。

 花巻東は今夏の第105回全国高校野球選手権記念大会で8強入りした。3番打者だった佐々木は8月19日の準々決勝で敗れた直後、「今後に関しては岩手に戻ってからゆっくり決めたい」と明言を避けていた。

 9月に10日間ほど渡米し、複数の大学の施設を見学したといい、「すごい刺激になったし、野球の文化の違いとかあってすごいびっくりしたところもあった。いろんな部分で学ぶことがあった」と話した。

 その上で進路を日本のプロ野球と米国の大学への留学の二つに絞ったが、「まずは米国の大学で技術面も人としても一から見つめ直したい。次のステージのことはその後に考えたい」との結論に至ったという。

 父でもある花巻東の佐々木洋(ひろし)監督(48)もこの日、取材に応じた。

 「野球のことだけを考えるのではなく、人生のあらゆる可能性を広げて、教養もつけながら次のステージをめざすのもいいのかなと思った。野球だけでなく、人間として幅を広げてほしい」と米国留学へ背中を押したことを明らかにした。

 大リーグで活躍する大谷翔平(エンゼルス)や菊池雄星(ブルージェイズ)ら花巻東の卒業生からアドバイスを受けたことも、判断材料の一つになったという。

 佐々木は1年秋の明治神宮大会の時点で49本塁打を放つなど、長距離打者として注目を浴びてきた。

 今春には、これまでの高校最多とされる早稲田実(東京)の清宮幸太郎(現日本ハム)の111本を超えたことを明らかにし、その後140本に達した。

 甲子園には2年春の選抜と今夏の全国選手権の2回、出場したが、本塁打は出なかった。(山口裕起)