プロバスケットボール・Bリーグ3部(B3)の香川ファイブアローズは、10月から新体制で新シーズンに挑む。2部(B2)復帰に向けて、勝敗とともに注目されるのが経営面だ。プロスポーツチームなどの経営コンサルティングを担い、4月に運営会社社長に…

 プロバスケットボール・Bリーグ3部(B3)の香川ファイブアローズは、10月から新体制で新シーズンに挑む。2部(B2)復帰に向けて、勝敗とともに注目されるのが経営面だ。プロスポーツチームなどの経営コンサルティングを担い、4月に運営会社社長に就任した生岡直人氏(40)に意気込みを聞いた。

 ――勝負がかかった年となりますが、業績不振は顕著です

 債務超過が2・6億円と厳しい状況です。まずは勝敗よりも利益を出す構造を見直さないといけません。今はグッズの販売拡大と清掃ボランティアなどの地域活動に力を入れています。応援され支持を受けるクラブになるためには、自分たちから積極的に地域に関わることが大切です。その中で相乗効果が生まれ、スポンサー獲得の布石にもなると考えています。グッズ開発は飽きられるぐらいやりきろうと話しています。

 ――社長就任の理由は

 経営を立て直したかったからです。みんな嫌がると思ったから「じゃあ自分がやろう」と。家族には反対されました。でも、2021年に運営会社の取締役に就任してから、アローズの頑張りが多くの人の支えになっていると感じてきました。やると決めた以上やり切りたいし、責任もあります。これまでバスケでのインターハイ出場や税理士試験など難しいことに挑戦してきました。経営も挑戦であり、やりきりたいです。

 ――成績不振や業績不振の原因をどう分析しますか

 チームとフロントに一体感がなく、やるべきことの基準が低かったと分析しています。売り上げ目標を達成する上で「もうちょっと頑張ろう」と誰も強く言えませんでした。一枚岩になればクラブ全体に安心感が生まれ、方向を間違うことはありません。私はズバッという性格で、今のところ、未知の目標に対してもやってもらっていると感じています。

 ――ワールドカップでバスケが盛り上がりましたが、香川はバスケの大きな市場になりえますか

 なると思います。25年に完成予定の県立アリーナと香川出身の渡辺雄太選手の存在が大きいです。結局、何が足りていないかと言えば、クラブの存在なんです。そこを確立すれば地元の経済活性化にもつながります。今このタイミングでやることが大切なんです。香川のスポーツビジネスの未来を創(つく)るのは今年だと思っています。

 ――26年にリーグは再編され、B1が「プレミア」、B2が「ワン」、B3が「ネクスト」と変わります。「Bワン」参入が当面の目標ですが、今後どんなことを仕掛けていきますか

 Bワン参入には、23―24年シーズンで売上高4億円以上▽平均入場者数1500人以上の達成が必須です。現状は売上高2・4億円、平均入場者数758人で厳しい目標です。入場者を増やす取り組みとして、今季から中学生以下なら2階席が無料となる「子ども未来パス」を創設しました。香川は子どもがプロスポーツを見る文化が根付いておらず、習慣化する必要があります。来期以降も継続するつもりです。

 ――チームの印象は

 面白いチームです。2人ベテランがいるのですがサボらずにちゃんとやってくれています。若手も触発されて全員が走ってハードにやっています。めっちゃ声も出しているし雰囲気もいいです。全員がハードにプレーしています。

 目標に対して正攻法だけでは駄目。アンテナを張って売上高も、観客数も債務超過解消もB2昇格も全部やろうと思っています。今年やりきったら楽ですよ。(和田翔太)

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 いくおか・なおと 1983年、兵庫県尼崎市出身。関西大社会学部卒業後、上場企業に就職するも半年で退社し、インターネット回線の代理店を起業。事業拡大に失敗し、2年半で断念したが、会計知識を身につけるために簿記3級の勉強を始め、税理士資格を取得。32歳でコンサル会社を設立し、クリニックやIT企業、飲食店など幅広い分野の経営コンサルティングを担い、7年で100以上の組織経営を改善した。今年4月にファイブアローズ社長に就任。尼崎市立尼崎高3年時にインターハイに出場した。