秋のダートマイル王決定戦、第36回マイルチャンピオンシップ南部杯(JpnI、ダ1600m)が9日、盛岡競馬場で行われる。 今年は、フェブラリーSを制したレモンポップや、ディフェンディングチャンピオンのカフェファラオ、再びダート路線に転じた皐…

秋のダートマイル王決定戦、第36回マイルチャンピオンシップ南部杯(JpnI、ダ1600m)が9日、盛岡競馬場で行われる。

今年は、フェブラリーSを制したレモンポップや、ディフェンディングチャンピオンのカフェファラオ、再びダート路線に転じた皐月賞馬ジオグリフに、昨年のジャパンダートダービー覇者ノットゥルノなど、多士済々なメンバーが集結。

「Road to JBC」として1着馬にJBCスプリントまたはJBCクラシックへの優先出走権が与えられるこの一戦、「穴馬」探しとともにマイルチャンピオンシップ南部杯を攻略する。

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■親和性高いフェブラリーS勝ち馬

府中のフェブラリーSと同様、左回りのワンターンで実施されるマイルチャンピオンシップ南部杯。ゆえに、フェブラリーSとの親和性が高く、昨年の覇者カフェファラオは同一年にフェブラリーSと南部杯を制覇。2016、17年と連覇を果たしたコパノリッキーは、15年にフェブラリーSを勝利、12、13年連覇のエスポワールシチーも、10年のフェブラリーSを制覇していた。

今年、その条件にカフェファラオとともに該当するのが、レモンポップだ。前走のドバイゴールデンシャヒーンは、初めての海外遠征で初距離と厳しい条件で大敗したが、それまでは11戦8勝2着3回とパーフェクト連対。距離が不安視されたフェブラリーSも、あっさりと差し切り勝ちを収め、ポテンシャルの高さを証明して見せた。

今回は長期休養明けとなるが、間隔を空けたレースでも結果を残してきており、その点は問題ないだろう。当然、人気の一角に支持されるであろうが、過去10年の南部杯で、1番人気は【6.2.1.1】で複勝率90%、2番人気も【2.4.2.2】で複勝率80%と、基本的に1、2番人気の信頼度は高く、ここも大崩れすることは考えにくい。中心に考えて良さそうだ。

■繰り返し好走するリピーター

リピーターが引き続き活躍するのも南部杯の特徴。1997年に統一GIへ格付けされて以降、06~08年に3連覇を果たしたブルーコンコルドを筆頭に、ユートピア、エスポワールシチー、ベストウォーリア、コパノリッキー、アルクトスと、連覇を決めた馬は実に6頭。それ以外にも、ホッコータルマエ(13年2着、16年3着)、ゴールドドリーム(18年2着、19年3着)など、勝ち切れないまでも繰り返し出走して好走するケースが目立つ。

そうなると、当然カフェファラオにも期待は高まる。今春は海外へ遠征し、サウジC3着、ドバイワールドC12着と、世界を相手に果敢な挑戦を続けた。前走の安田記念は12着と大敗も、敗因が芝と考えれば度外視できる。

全7勝中5勝が左回りのマイル戦で、条件は絶好の舞台。あとは6歳を迎え、衰えこそ見られないが、どこまで上がり目があるのかジャッジは難しいところ。とはいえ、大敗するシーンは考えにくく、マークは必要だ。

■侮れない地方馬の存在

基本的には上位人気が優勢で、大荒れは考えにくい一戦。だが、近3年は、6・7番人気が3着以内に1~2頭入っており、中位人気馬の激走に注意を払いたい。

そんな中、まず浮上するのが、兵庫のイグナイターだ。昨年の南部杯は4着に敗れたが、勝ち馬とは0秒2差と差はわずか。繰り返しリピーターが好走するというレースの特徴も考慮すると、前年より順位を上げる可能性は期待できる。

今年は、さきたま杯を制して交流重賞3勝目を飾り、前走も地元園田の重賞を制して上昇ムード。地方所属馬の複勝圏内は、過去10年で20年に3着に入ったモジアナフレイバーが、唯一の例だが、中央勢と何度も互角の勝負を演じてきたイグナイターなら、風穴を開けても何ら驚けない。

また、大井のソリストサンダーも侮れない1頭。かつては中央に所属し、重賞1勝(武蔵野S)。かしわ記念で2着2回、南部杯も3年連続の出走で、一昨年は3着の実績があり、リピーターによる好走も期待できる。

前走は地方移籍初戦で、川崎のオープン特別で勝利を飾り、8歳を迎えても衰え知らず。強豪の中央勢相手にひと泡吹かせることは可能だ。

■中央勢でバッサリ切りたい2頭

レモンポップとカフェファラオは、若さを重視して前者を上位に取るが、互角の力で3着以内を外すことは考えにくく、3連単の軸2頭に据えたい。

前項で紹介した地方馬2頭とともに、相手に加えたいのが、全7勝中6勝を左回りで制しているタガノビューティー。勝ち味に遅いタイプではあるが、かしわ記念ではメイショウハリオに肉薄するなど、GIでも上位の力は秘めている。

一発あるとすればレディバグか。重賞勝ちはスパーキングレディーCの1勝のみで、実績面では見劣る1頭。過去10年の南部杯で、牝馬の馬券圏内は一度も記録されていないが、全5勝中4勝が左回りの典型的なサウスポーだ。マイル戦もベストディスタンスで、軽く扱うのは危険。

ノットゥルノは、近況がやや頭打ちな戦績で、初のマイル戦も懸念材料。ジオグリフは、海外遠征でのダート戦こそ相手強化で度外視できるとしても、皐月賞以降のレースで目立つものはない。中央勢4歳馬は2頭ともバッサリでいきたい。

◎(3)レモンポップ ◯(2)カフェファラオ ▲(12)イグナイター △(1)タガノビューティー △(6)レディバグ △(8)ソリストサンダー

3連単軸2頭マルチ(24点) 軸:3、2 相手:12、1、6、8

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石川豊●いしかわゆたか 20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。