20年に無敗で牝馬三冠を達成したデアリングタクト(牝6、栗東・杉山晴紀厩舎)が体部繋靭帯炎を再発し、引退することがわかった。今後は岡田スタッドで繁殖牝馬になる予定。6日、所属するノルマンディーオーナーズクラブがホームページで発表した。 …

 20年に無敗で牝馬三冠を達成したデアリングタクト(牝6、栗東・杉山晴紀厩舎)が体部繋靭帯炎を再発し、引退することがわかった。今後は岡田スタッドで繁殖牝馬になる予定。6日、所属するノルマンディーオーナーズクラブがホームページで発表した。

 デアリングタクトは父エピファネイア、母デアリングバード、母の父キングカメハメハという血統。近親にダート重賞3勝を挙げたピットファイターなどの活躍馬がいる。

 19年11月に京都競馬場の2歳新馬戦でデビュー。初陣で白星を挙げると、続くエルフィンSも完勝して牝馬三冠路線へと駒を進める。桜花賞では渋った馬場を物ともせず、上がり最速の末脚を繰り出して快勝。オークスでは直線で進路が無くなる場面もあったが、馬群を縫うようにして差し切り二冠を手にした。

 秋はぶっつけ本番で秋華賞に出走すると、外目から早めに進出して、直線は力強く抜け出して優勝。史上初となる“無敗牝馬三冠”を達成した。また、同年にはコントレイルも“無敗クラシック三冠”を達成。世界でも類を見ない“牡牝同時に無敗三冠馬誕生”という歴史的な年となった。

 その後はジャパンCでアーモンドアイ、コントレイルとの三冠馬対決を実現させ3着に入り、21年には香港遠征を行いクイーンエリザベスII世Cで3着に健闘するなど、日本の中距離路線をけん引。昨年11月のジャパンC以降は休養しており、復帰に向けて調整を続けているところだった。通算成績は13戦5勝(うち重賞3勝)。

 管理した杉山晴調教師は「引退の第一報を受けまして、とうとうこの日が来てしまったかと心にポッカリ穴が空いたような寂しい感覚です。会員の方々やファンの皆様に支えられて、史上初無敗の牝馬三冠を成し得たデアリングタクト。経験させられたこと、もたらしてくれたものの大きさに、感謝の言葉が尽きません。彼女のおかげで厩舎の今があると思っていますし、私自身にとってもかけがえのない特別な存在です。この後も大事な仕事が控えていますが、まずはお疲れ様。本当にありがとうとデアリングに伝えたいと思います」と感謝の言葉を残した。