今週は京都競馬場で、第58回京都大賞典(GII、芝2400m)が行われる。天皇賞・春2着馬ディープボンド、昨年のジャパンC勝ち馬ヴェラアズールが出走。歴戦の古馬が淀の舞台で火花を散らす。 ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬14頭の全頭分…

今週は京都競馬場で、第58回京都大賞典(GII、芝2400m)が行われる。天皇賞・春2着馬ディープボンド、昨年のジャパンC勝ち馬ヴェラアズールが出走。歴戦の古馬が淀の舞台で火花を散らす。

ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬14頭の全頭分析を行う。

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京都大賞典2023全頭分析

・アイアンバローズ

近走着順の見栄えこそ良くないが、前走天皇賞・春は先手を奪ったタイトルホルダーを捕まえにいくような積極策。結果は惨敗も、復調に向けた一筋の光が見えたレースだった。開幕週の京都芝外回りはかつて逃げ馬による大波乱を生んできた条件。芝2400mの成績【3-2-1-3】も含め、何らかの印は必要か。

・アフリカンゴールド

今年使われた5戦は競走中止も含めていずれも勝ち馬と1秒以上離される競馬。変わり身は望み薄か。

・インプレス

10人気の前走新潟記念は3着と好走。上がり3F最速の脚を使った点から、現状は直線平坦コースが合っている印象だ。芝2400mは【3-0-0-1】。前走と同じようにインを突く競馬が叶えば差はない。

・ウインマイティー

昨年のこのレース3着馬。当時は阪神開催だったが、牡馬相手に馬券内なら立派と言える。ただ、今年の舞台は京都芝外回り。過去の戦績から阪神巧者ぶりは明らかで、上がり33秒台の切れ味を有していない点もマイナスだ。

・ヴェラアズール

こちらは昨年のこのレース勝ち馬。3勝クラスを勝ったばかりだったが、大外一気の切れ味を発揮し次走GI制覇まで駆け上がった。距離適性は申し分ないが、今回はGI馬の立場ゆえ斤量59キロを背負うことに。陣営としては連覇を狙うジャパンCを大目標に設定するだろうし、実績は十分だが強調材料は乏しい。

・ゼーゲン

2度使われた重賞はいずれも掲示板外。厳しい。

・ディープボンド

GIで4度の2着がある安定株。さらに京都芝外回りでは1.4.2着と大崩れがなく、今回の舞台は秋競馬でもっとも適性の高い条件と言えるだろう。今年使われた3戦はいずれも斤量58キロ。斤量57キロで臨めるここは休み明けでも軽くは扱えない。

・ビッグリボン

牝馬限定重賞を使われた近走。前走は1000m通過57秒3という激流を渋太く伸びて重賞勝利を飾った。ただ、今回は牡馬混合戦かつスローの上がり勝負が濃厚な組み合わせ。全5勝中4勝が直線急坂コースという馬でもあり、中心に据えるには躊躇してしまう。

・ヒンドゥタイムズ

芝1800-2000mを主戦場とする馬。全6勝中4勝が直線の短いコースでもあり、京都芝2400mの外回りは条件不適だ。

・ヒートオンビート

前走目黒記念で待望の重賞初制覇。1.3.4着が道中10番手以下の差し決着が味方したとはいえ、東京芝2500mの安定感は特筆すべきものがある。ただその半面、昨年夏以降はその条件での馬券内しかないのも事実。京都開催の2011年以降、前走目黒記念組の成績は【0-0-1-8】。人気とのバランスを考えると、思い切って「消し」の選択も視野に入れたい。

・プラダリア

日経新春杯、京都記念はいずれも3着。レース名だけを見れば京都巧者と言いたくなるが、その2戦は中京・阪神だった。タフな急坂コースで持ち味を披露するタイプと捉えてよいだろう。休み明けだったとはいえ、前走は新潟芝外回りで切れ負け。再度差し損ねるシーンは考えるべきだ。

・ブローザホーン

芝2200m以上に勝利実績が集中するステイヤー・タイプの馬。さらに道悪が重なるとグッと信頼度が増す馬で、前走は絶好の狙い時だったのかもしれない。翻って、今回は開幕週の京都芝外回り。馬場が極端に悪化するならまだしも、良馬場の施行なら全幅の信頼を置けるとは言い難い。

・ボッケリーニ

この馬の成績はわかりやすい。2022年以降、GIの成績【0-0-0-3】に対し、GII・GIIIでは【2-3-1-0】。自分の持ち場で真価を発揮するタイプだ。加えて京都芝外回りは【2-1-0-0】連対率100%。伸びないインを通った前走も大負けしておらず、舞台替わりで見直したい1頭だ。

・マイネルウィルトス

重賞での馬券内は東京芝2500mと洋芝2000mに限定。スタミナに秀でており、上がり3Fはかかればかかるほど良いというタイプだ。週末の天候次第ではあるが、極端に時計・上がりがかからない限りは印を打ちたくない。

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著者プロフィール

田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家 競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。