今週は東京競馬場で、第74回毎日王冠(GII、芝1800m)が行われる。春にヴィクトリアマイル、安田記念を連勝したソングラインと一昨年の本レース勝ち馬シュネルマイスターのGI馬2頭が出走。秋のGIシリーズを見据えた馬が覇を競う楽しみな一戦だ…

今週は東京競馬場で、第74回毎日王冠(GII、芝1800m)が行われる。春にヴィクトリアマイル、安田記念を連勝したソングラインと一昨年の本レース勝ち馬シュネルマイスターのGI馬2頭が出走。秋のGIシリーズを見据えた馬が覇を競う楽しみな一戦だ。

ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬12頭の全頭分析を行う。

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毎日王冠2023全頭分析

・アドマイヤハダル

若葉Sを最後に勝ち星から遠ざかる馬。リステッド競走も勝ち切れていない現状だが、前走芝1800mで記録した1分44秒5はこのメンバーでも上位にランクされるものだ。道中ひと桁順位のところから上がり3F33秒台前半の脚を使えるのは大きなアドバンテージ。ロスなく立ち回ることができれば穴妙味ある1頭だ。

・ウインカーネリアン

芝1800mを使われるのは2020年12月以来。全8勝中7勝が前走から中2カ月以内という馬で、約5カ月ぶりのレース間隔のここは次走への叩き台と捉えたい。

・エエヤン

これまで挙げた3勝はすべて右回り。左回りかつ古馬混合GIIは敷居が高い印象を受ける。

・エルトンバローズ

未勝利から3連勝で重賞制覇を飾った前走。目下の充実ぶりには目を見張るものがあるが、レーベンスティールを除く上位馬がすべて4角5番手以内の前残り馬場を利した印象は否めない。この馬の勝ち時計を0秒4上回った2015年の勝ち馬アンビシャスは同じローテで参戦した毎日王冠で6着。古馬の壁は厚いとの判断だ。

・ジャスティンカフェ

前走エプソムCで待望の初重賞制覇。マイルGIを使われた経験もある馬だが、芝1800mの成績【1-2-0-1】が示すように安定感はこの距離に軍配が上がる。前走が外差し馬場の恩恵を受けた一戦だっただけに、再度突き抜けるためのハードルは高そうだが、ノーマークにはできない。

・シュネルマイスター

不振に陥った昨年秋から一転、春競馬は好調に。東京芝GIで4度の馬券内が示すように、舞台適性は間違いなくトップクラスだ。当レースは2年前にGI馬ダノンキングリーを下したが、同馬が芝1800mで負けたのはその一戦のみ。ソングラインとの斤量差が1キロ縮まる点も含め、アタマを取りきれるシチュエーションは揃った。

・ソングライン

GI連勝で名実ともにトップマイラーの称号を手にした春競馬。2戦とも4人気とやや疑われていた感はあったが、勝ちっぷりや負かした相手は文句のつけようがない。芝1800mかつ斤量57キロのここも断然人気とはいかないだろうが、東京芝の成績【5-2-0-1】を見るより、東京のソングラインは大きく評価を割り引けない存在であると判断したいところだ。

・デュガ

これまで挙げた4勝は芝1400m以下。初の距離がハイレベルなGIIでは厳しいだろう。

・ノースザワールド

リステッド競走で掲示板外の前走。GIIのメンバー相手では分が悪い印象も、持ち時計はメンバー中上位にランクされる。芝1800mでは【2-3-0-1】と安定。前走はイン伸び馬場での馬番フタ桁番が響いた感があり、内枠を引き当てられるようならヒモ穴候補として一考したい。

・バビット

重賞での掲示板内がすべて直線の短い右回りコース。直線の長い左回り替わりでの強調材料は乏しい。

・バラジ

斤量56キロの近2走はいずれも馬券外。3着馬と僅差を演じたわけでもなく、久々の距離がGI馬相手では分が悪い印象だ。

・フェーングロッテン

芝1800mを使われるのは昨年夏以来。芝2000m重賞の常連ではあるものの、速い上がりを使えない点がウィークポイントの馬だ。開幕週の東京芝1800mは上がり3F33秒台が必須。持ち時計も乏しく、ここはバッサリ切る手も考えられそうだ。

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著者プロフィール

田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家 競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。