今週は天皇賞・秋の前哨戦、第74回毎日王冠(GII、芝1800m)が行われる。 今年は、春のヴィクトリアマイルと安田記念のマイルGIを連勝したソングラインと、一昨年の当レースを制したNHKマイルC覇者シュネルマイスターのGI馬2頭が激突。加…

今週は天皇賞・秋の前哨戦、第74回毎日王冠(GII、芝1800m)が行われる。

今年は、春のヴィクトリアマイルと安田記念のマイルGIを連勝したソングラインと、一昨年の当レースを制したNHKマイルC覇者シュネルマイスターのGI馬2頭が激突。加えて、昨年当レース2着のジャスティンカフェや、マイル重賞2勝のウインカーネリアンなど、中距離戦線の強豪が集う豪華な一戦となった。

そんななか、エエヤンとエルトンバローズの3歳馬2頭が、今回の「危険な人気馬」の標的となる。

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■GI実績、東京コース実績のない3歳馬はバッサリ

春のニュージーランドTを制し、NHKマイルCでは9着に敗れたが、2番人気と高い評価を受けたエエヤン。また、前走のラジオNIKKEI賞で、鋭い決め手を発揮して重賞初制覇を果たしたエルトンバローズ。今年の毎日王冠には、3歳馬2騎が古豪へ挑む。

ともに1600~1800mを主戦場とし、未知の魅力あふれる存在として注目を集めそうだが、過去のデータから紐解くと、苦戦必至と言わざるを得ない。

まず毎日王冠は、とにかく東京コースでの実績がモノを言う。過去10年の勝ち馬延べ10頭中9頭が、東京の重賞を勝った実績のある馬で、東京重賞の優勝経験がある馬の【9.5.4.32】に対し、優勝経験がない馬は【1.5.6.58】とその差は歴然。

また過去10年で、レースを問わず、前走が東京コースだった馬は【7.6.5.33】の成績で、他場に比べて圧倒的に成績が良く、加えて、その成績が1~3着だった馬は【7.4.3.10】と、馬券圏内に入った馬のほとんどが、前走も東京コースで馬券圏内に好走していた。エエヤンのように、GIとはいえ、前走東京コースで大きく負けていた馬の巻き返しは難しい一戦なのだ。

また、毎日王冠での3歳馬の活躍は近年目覚ましく、2019~21年と3歳馬が3連覇を果たすなど、過去10年で【3.1.0.11】の成績で、古馬と比較しても遜色ない数字だ。しかし、その内訳を見ると、連対した4頭は、すべてGIで連対実績があった。2015年2番人気6着のアンビシャスや、20年2番人気10着のサトノインプレッサなど、GI実績がないのに人気を集め、惨敗するパターンも多く見受けられる。

エエヤンとエルトンバローズは、ともにGIでの実績がなく、前者は東京コースで最高着順が3着、後者に至っては、今回が東京初参戦となり、コース実績が乏しい点は大きな減点材料。ソングラインやシュネルマイスターといった、東京でのGI実績を持つ馬に対し、果たしてどこまで通用するか。大きく人気を集めることはないかもしれないが、それなりに上位人気に支持されるような雰囲気もあり、2頭とも思い切って「消し」でいきたい。

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著者プロフィール

石川豊●いしかわゆたか 20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。