ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会の試合を見ていると、歌が聞こえてくることがあります。 観客席で誰か一人が歌い始めると、周りの人たちも歌い出す――。これは、ヨーロッパ独特の文化かもしれません。 イングランド代表には有名な応援歌があ…

 ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会の試合を見ていると、歌が聞こえてくることがあります。

 観客席で誰か一人が歌い始めると、周りの人たちも歌い出す――。これは、ヨーロッパ独特の文化かもしれません。

 イングランド代表には有名な応援歌がありますし、フランス代表の試合では、試合前の国歌斉唱に限らず、試合中も国歌で盛り上がります。

 私がフランスにいた時は「アフター・マッチ・ファンクション」(試合後の選手同士の交流)や、試合後のパーティーなどで、歓迎の意味を込めた歌を耳にしましたし、ヤマハ発動機時代にフランス合宿をした時も街の人たちが歌ってくれました。

 人々をつなぐ大事な役割を、歌が果たしていると感じます。

 日本とイングランドの試合でも、イングランドサポーターの歌声が聞こえてきましたね。

 そんなアウェーの環境で日本のFW陣はほぼ対等に戦えていました。

 特にスクラム。堀江翔太選手を先発起用することでスクラムを安定させる、という狙いがハマっていました。

 私はイングランド戦を見て、「サモア戦でもメンバーを変える必要はないな」と感じました。サモアに対してもイングランド戦と同じようなイメージでいい。まずセットプレーを安定させる。それから接点で負けない。

 前回うまくいったFW8人は、そのままの流れでいってほしいと思います。

 イングランドにスクラムでやられた後半20分以降については、改善が必要です。ちょうど、堀江選手と坂手淳史選手が代わったあたりが境になりました。

 長谷川慎スクラムコーチは「よく調べたら、坂手じゃないところに原因があった」と言及したようですが、私もその可能性は十分あると思います。

 例えば、FW第1列の3番(右プロップ)が押されているように見えたとします。一見すると3番に原因がありそうですが、実は1番(左プロップ)の踏み込んだ足の位置が理想から1歩外にずれて力が漏れていたということもあります。

 あの日はタフな戦いでFWは相当疲労していました。第1列の3人だけではなく、ロックとフランカー、ナンバー8のバックファイブの姿勢はどうだったのか。疲れてきて、少し高くなっていたようにも見えました。

 もちろん相手も交代選手を投入しますから、相手の変化する組み方にも対応しなければなりません。

 坂手選手のせいではなかったとしても、昨年はキャプテンを務めた責任感が強い選手です。

 きっと、思うところがあるはず。前回はうまくいかなかった分、サモア戦での爆発に期待しています。(構成・松本龍三郎)