「RIZIN.44(ライジン44)」は24日、さいたまスーパーアリーナにて全10試合を行った。うち4試合はフェザー級の試合で、メインマッチでは40歳のベテラン・金原正徳が元王者クレベル・コイケを下し大金星を上げるなど、フェザー級戦線はますま…

「RIZIN.44(ライジン44)」は24日、さいたまスーパーアリーナにて全10試合を行った。うち4試合はフェザー級の試合で、メインマッチでは40歳のベテラン・金原正徳が元王者クレベル・コイケを下し大金星を上げるなど、フェザー級戦線はますます混沌を極めた。

◆【実際の映像あり】金原正徳、強敵クレベルに完勝 タイトルマッチ控える鈴木千裕を激励「勝ってこい、やろうな」

■クレベル1強時代は終幕するのか

クレベルは昨年の大晦日大会でパトリシオ・ピットブルに判定負けした以外、RIZIN7戦すべてで一本勝ち(うち1試合はノーコンテスト)を収めていた。金原は試合前から「彼の寝技を切るだけではなくて、こっちも寝技で勝負する。それができるのは唯一、俺だけ」と断言。試合では自らクレベルにタックルを仕掛けてテイクダウンを奪うなど、今までになかった攻め方でクレベルを終始圧倒した。

試合後にはクレベルの攻略法について「『何カ月頑張りました』でどうにもなるような話じゃない。やっぱり本当にコツコツやってるやつのほうが強い。柔術だったりグラップリングをたくさんやってください。MMAをたくさんやってください。それくらいのアドバイスしかできないです」と語った。

金原は“総合力”でクレベルを上回ったが、それは長年積み重ねてきた練習と経験によるもの。誰もがすぐに身につけられる小手先の技術力ではクレベルに対抗できないことは明らかだ。RIZINには打撃力の光るファイターが多いが、クレベルはこれからもそのような選手たちの前に立ちはだかる高い壁であり続けるだろう。

■寝技の底上げ必須、総合力が求められる時代へ

メインマッチ以外にも、「摩嶋一整 vs. 横山武司」のフェザー級の日本寝技師対決では、アップポジションを得意とする摩嶋と下からの攻めを得意とする横山が対戦。横山は今回MMA初黒星を喫したものの、前回はわずか84秒でアームバーを極めるなどRIZIN2戦目にして存在感が際立つ。総合格闘技では6戦5勝でうち4試合で一本勝ちと脅威のフィニッシュ率を誇る。MMA歴は浅いものの、今後も寝技を武器にRIZINフェザー級戦線を盛り上げてくれるはずだ。

サブメインの「牛久絢太郎 vs. 萩原京平」では、クレベル、朝倉未来に2連敗して後がない元王者・牛久と、寝技に課題を抱えるストライカーの萩原が対戦。萩原は組み技の対処など随所で成長を見せたが、判定で3-0で敗れた。萩原は2020年にRIZINデビュー。持ち前の打撃力で白星を積み重ねてきたが、人気選手ゆえに露出が増えて弱点も露呈。22年からは3戦連続で一本負けを喫するなど、苦しい状態が続いている。

グラップリングの成長には長い年月が必要と言われているが、試合ごとに成長した姿を見られるほか、敗戦後の試合後インタビューでの誠実な受け答えを見ていると、今後も腐らずに練習を積んで、KOを量産する姿を見たいと思う。

今後はクレベルだけでなく、横山のような柔術師との対戦も予想されるだけに、今後フェザー級戦線で生き残るためには、圧倒的な打撃力だけではなく、寝技の底上げが必須となるだろう。対する牛久も、ATTに移籍し環境を変えて臨んだ初戦で見事に“総合力”を発揮し勝利。試合後のマイクでは階級転向も示唆していたが、プレッシャーを乗り越えた牛久の今後の活躍にも注目だ。

今大会でさらに活性化したRIZINフェザー級戦線。11月4日のアゼルバイジャン大会では、ストライカーの鈴木千裕と現王者・ヴガール・ケラモフによるフェザー級タイトルマッチが行われる。

ケラモフはMMA戦績23戦19勝4敗。19勝のうちKO勝ち6回、一本勝ち9回と総合力、フィニッシュ率ともに高いMMAファイターだ。鈴木は一発のあるストライカーだが、ケラモフの総合力にどのように立ち向かうのか。

RIZINフェザー級戦線の人気選手にはストライカーが多い。朝倉未来、格闘技引退をほのめかせている平本蓮もそのひとりだ。ド派手なKO劇はもちろん観るものを魅了するが、今後トップ戦線に残り続けるためには、金原のような総合力が必要不可欠となるだろう。今後も選手の鍛錬と成長、激動のフェザー級戦線の行方から目が離せない。

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文●工藤愛梨(SPREAD編集部)