フランスで開催中のラグビーワールドカップ(W杯)では、二酸化炭素排出量の削減のため、主催者がチームやファンに対して飛行機ではなく鉄道での移動を求めている。 W杯での二酸化炭素排出量の80%は交通機関によるものとみられ、世界各地からフランス…

 フランスで開催中のラグビーワールドカップ(W杯)では、二酸化炭素排出量の削減のため、主催者がチームやファンに対して飛行機ではなく鉄道での移動を求めている。

 W杯での二酸化炭素排出量の80%は交通機関によるものとみられ、世界各地からフランスに来るチーム、ファンが利用する飛行機から主に発生しているという。

 国際統括団体ワールドラグビー(WR)とW杯フランス大会組織委員会は、国連の「スポーツを通じた気候行動」の作業部会に加盟しており、WRは2030年までに二酸化炭素排出量の50%削減を目標に掲げている。

 9月8日にパリ郊外サンドニで行われた開幕戦に向けて、世界的な人気を誇るオールブラックス(ニュージーランド代表)がさっそく高速鉄道TGVを利用。チームが拠点を置くフランス南東部リヨンから乗り込み、2時間弱でパリに到着した。

 大会期間中の鉄道利用はチーム移動で計70回が予定され、ファンの88%は鉄道で移動すると見込まれるという。大会責任者は「ラグビーが模範となり、低炭素な移動手段が大会の無形遺産の一つになることを望んでいる」とコメントした。

 オールブラックスを見習って、記者も都市間の移動はすべて鉄道にしている。

 総じて、車内は快適だ。

 TGVなど座席指定がある列車は、1等席と2等席に分かれる場合がほとんど。やや狭い2等席でも日本の新幹線の一般座席と変わらない印象だ。

 日本に比べ「遅い」と感じるのが正直なところ。

 例えば、日本代表が拠点を置くトゥールーズからリヨンへ向かったTGV。直線距離にして約360キロは、JRの東京―京都駅間とほぼ同じだ。新幹線なら最速2時間10分ほどだが、TGVでは4時間以上かかった。

 困るのは、たびたび起こる遅延。乗り継ぐ予定でチケットを買ったが、次の列車に間に合わない失敗も経験した。1時間近く余裕をもって乗り継ぐようにしたため、移動にかかる合計時間は長引きがちだ。

 とは言え、環境配慮のためだと思えば、少々の長旅も苦にならない。(トゥールーズ=松本龍三郎)