ラグビーの第10回ワールドカップ(W杯)フランス大会は23日、1次リーグC組のジョージアとポルトガルの試合がトゥールーズであり、18―18で引き分けた。22日(日本時間23日)、1次リーグD組の1試合がサンテティエンヌであり、アルゼンチン…

 ラグビーの第10回ワールドカップ(W杯)フランス大会は23日、1次リーグC組のジョージアとポルトガルの試合がトゥールーズであり、18―18で引き分けた。22日(日本時間23日)、1次リーグD組の1試合がサンテティエンヌであり、アルゼンチン(世界ランク10位)が19―10でサモア(同11位)を下した。アルゼンチンは相手に一時退場者がいた前半9分、WTBボフェリのトライで先制。10点リードで試合を折り返すと、後半35分の失トライなどでサモアに6点差まで詰め寄られたが逃げ切った。D組は全チームが2試合を消化し、2勝のイングランドが首位。1勝1敗でサモア(2位)、日本(3位)、アルゼンチン(4位)が続き、2敗のチリが最下位となっている。

 観客席が揺れていた。

 熱狂的なアルゼンチンサポーターが総立ちになったのは、16―10で迎えた後半40分。この日一番の歓声はPGを狙うSOサンチェスに注がれた。

 ハーフウェー付近から放ったロングキックをHポールに通すと、両手でガッツポーズ。雄たけびを上げた。

 この得点の意味をスタジアム全体が知っていた。

 アルゼンチンの勝利を確かなものにするだけではなく、1次リーグ突破を争うライバルのボーナスポイント(7点差以内の敗戦)を握りつぶしたのだ。

 キャプテンのFWモントジャは「大きな勝利。この大会にとっても非常に重要な勝ちだ」と言った。接戦をものにし、イングランド戦で失った自信を取り戻したようだった。

 派手な突破がほとんど見られない堅いゲーム。勝負のポイントは、サモアの「規律」にあったと思う。

 開始早々、ハイボールを巡るプレーでイエローカードを受けた。数的不利の時間帯に許したトライがまともに崩された唯一のシーンだっただけに悔やまれる。

 不用意なオフサイドや倒れ込みももったいなかった。ゴール前で粘り強く守れた時間もあったが、しつこく自陣で攻撃を続けられると我慢しきれない。反則で与えたPGが結果に響いてしまった。

 サモアのマプスア・ヘッドコーチは「相手はゲームプランをうまく遂行し、私たちはそれに対応できなかった」。勝ち点0の手痛い1敗に肩を落とした。(サンテティエンヌ=松本龍三郎)