テニスのジュニア世代の国内最高峰大会「全日本ジュニア選手権」の女子12歳以下ダブルスで、山形市立第七小学校5年の奥山し渚(な)さんが優勝した。シングルスは中1の早生まれや小6の選手に交じり、5年生で唯一、8強入り。さらなる飛躍を目指してい…

 テニスのジュニア世代の国内最高峰大会「全日本ジュニア選手権」の女子12歳以下ダブルスで、山形市立第七小学校5年の奥山し渚(な)さんが優勝した。シングルスは中1の早生まれや小6の選手に交じり、5年生で唯一、8強入り。さらなる飛躍を目指している。

 同選手権は8月中~下旬に東京・有明テニスの森公園であった。奥山さんはダブルスで岩手・雫石小6年の大村和花子(わかこ)さんと組み、5試合中4試合をストレート勝ち。出場32組の頂点に立った。

 昨年は4強止まりで、奥山さんは「試合中はずっと緊張していたのでほっとしました。後になってやっとうれしさも出てきました」と大会を振り返った。

 テニスを始めたのは4歳。父の和征(かずゆき)さん(51)が趣味で楽しんでいて、大会に一緒についていったのがきっかけだ。地元のテニススクールに通うようになり、小学生になるとめきめきと頭角を現した。

 全日本ジュニアの東北予選は12歳以下女子シングルスで小3の時から3連覇中。ほかのジュニア大会でも上位の成績を収め、12歳以下の国内ランキングでは今年に入って半年以上2位だった。現在はヨネックスなどとスポンサー契約を結ぶ。

 同世代トップクラスの実力を誇る奥山さんの持ち味は何か。所属クラブである「インドアテニススクールベルズ」の尾形圭コーチ(40)によると、「バックハンドと展開力」と言う。

 強烈なバックハンドのショットは相手が年上でも決して打ち負けない。長いラリーになればなるほど、自分で展開をコントロールできるという。ボレーなどのネットプレーも含めてオールラウンドで戦える。

 「どの場面に陥っても対応でき、穴が少ない。練習の成果がそのまま試合でも出せている。これからどこまで伸びるか楽しみです」と尾形コーチは話す。

 奥山さんは、テニス漬けの毎日だ。平日は学校の宿題をこなすと3時間のナイター練習へ。中高生に交じってトレーニングを積む。週末の練習は5、6時間。大会があれば和征さんと遠征に出かける。金曜夜に山形を発ち、日曜深夜に戻ることも珍しくない。

 二人三脚で歩む父の目にはどう映るのか。

 和征さんは「勝敗より、自分のプレーに納得できたかが動機付けになっているようです。練習でやったことが本番でできないと、大会で勝って帰宅してもすぐまた練習に行く。小さい頃からずっとそうですね」。

 テニス以外では外出することも少なく、家での読書が楽しみ。食べ物では白米が大好きだという。

 夢は、世界で活躍するプロテニスプレーヤーだ。奥山さんは「まず国内のシングルスのジュニアの大会を優勝して日本一の小学生になってから、世界に行きたい」と意気込む。

 憧れの選手は、今年の全米オープンで準優勝したアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)。その理由は「プレーがダイナミックなところと、顔かな」。11歳らしいあどけない笑顔だった。(兼田徳幸)