第19回栃木県障害者スポーツ大会(いちご一会とちぎ大会記念大会)が23日から、県総合運動公園を中心に開かれる。スポーツに取り組んで「人生が変わった」と言う駒崎茂・県障害者スポーツ協会会長(61)=宇都宮市=は、「会場で直接見てほしい」と呼…

 第19回栃木県障害者スポーツ大会(いちご一会とちぎ大会記念大会)が23日から、県総合運動公園を中心に開かれる。スポーツに取り組んで「人生が変わった」と言う駒崎茂・県障害者スポーツ協会会長(61)=宇都宮市=は、「会場で直接見てほしい」と呼びかけている。

 駒崎さんは40歳のとき、交通事故で両足を切断した。やせるために泳ぎ始めたのが、障害者スポーツに関わるきっかけだった。

 最初のころはプールに1人で行くと、介助の人が必要だと断られた。中学生だった長女を連れていっても「18歳以下だと保護者にならない」と言われた。

 プールの担当者の前で、実際に泳いでみせた。その積み重ねで各地の施設が利用できるようになった。県内には障害者水泳のチームがなかったため、2010年に県身体障害者水泳協会(栃木とびうお)を設立した。

 パラリンピック出場を果たしたのは、16年のリオデジャネイロ大会。競技は、仲間に誘われて挑戦したボート(混合ダブルスカル)だった。世界最高峰の舞台に立ち、「想像もしていなかった世界を見ることができた」と言う。54歳でそういう思いができるのは普通の人生ではなかなかない。「しかも『やせたい』で始めたスポーツで」

 21年の東京大会はペアの相手が見つからず、出場を逃した。競技の一線からは退いたが、聖火リレー走者として県内を走り、パラ本番ではテレビ解説者を務めた。

 県障害者スポーツ協会会長に就任したのは5月。今も職場まで片道約50キロを車で通っている。一方で、有望選手を発掘する日本スポーツ振興センターの「ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト」で全国各地を飛び回る。「スポーツで人生を変えられる。選手を発掘してサポートし、パラリンピックでメダルを取ってもらうのが、僕の今の目標」

 妻や3人の子どもたちにも感謝する。事故から1年後、全国高校総体(インターハイ)に出場する長男を応援するため、義足で島根県に出かけた。「来年連れて行くよ」と約束してくれた長男の言葉を励みに、厳しいリハビリに耐えることができた。

 事故時に中学1年だった長女は、看護師になった。「僕に接するお医者さんや看護師さんらを見て、私もそういう仕事に就きたいと」。家族を心の支えにしてきた。

 今大会は、昨年10月に県内で開かれた全国大会のレガシー(遺産)に位置づけられている。これまで県大会は9競技だったが、全国大会同様に14競技が実施される。駒崎さんは「いろいろな競技を見てほしい。ボランティアでもいいので、今後、さまざまな形でスポーツに参加してもらえれば」と願う。(由利英明)