第69回オールカマー(GII、芝2200m)は、天皇賞・春での競走中止から復権を期すタイトルホルダーを筆頭に、ジェラルディーナ、ウインマリリンを含めた計3頭のGI馬が参戦。ガイアフォースやノースブリッジなど骨っぽいメンバーも揃い、見応えのあ…

第69回オールカマー(GII、芝2200m)は、天皇賞・春での競走中止から復権を期すタイトルホルダーを筆頭に、ジェラルディーナ、ウインマリリンを含めた計3頭のGI馬が参戦。ガイアフォースやノースブリッジなど骨っぽいメンバーも揃い、見応えのある一戦となりそうだ。

そんななか、本格化漂う4歳一角ローシャムパークが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。

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■GIIIからの連勝が難しい伝統のGII

ローシャムパークは昨秋、1勝クラスを勝ったばかりの身でセントライト記念に挑戦。勝ったガイアフォース、後の菊花賞馬アスクビクターモアには適わなかったが3着に好走し、将来を嘱望される存在となった。

明けて4歳の今年は条件クラスを着実に勝ち上がり、前走の函館記念では中団から長くいい脚を使って後続に2馬身差の快勝劇。その勝ちっぷりや潜在能力の高さが評価され、鞍上C.ルメールの存在も人気に拍車をかけることだろう。

とはいえ、即座に飛びつくほどの信頼感は置けない。前走は3勝クラスを勝ったばかりのハンデ戦で、56キロの斤量が有利に働いた印象。データ面でも、過去10年のオールカマーにおいて前走函館記念組の成績は【0.0.0.4】。該当馬こそ少ないが、2018年エアアンセムは函館記念1着からオールカマーで4着に敗れている。さらに遡ると、06年エアシェイディ(函館記念2着→オールカマー5着)といった例もあるように、決して相性は良くないローテだ。

前走GIIIに幅を広げてみると、過去10年で【4.2.1.45】と決して数字は悪くない。しかし、前走1着からオールカマーで連勝を決めた馬はおらず、前走で敗戦した馬が巻き返して勝利を手にしている。その一方で前走1着馬の成績は【0.2.0.5】。該当馬のほとんどが夏場のサマー2000シリーズの重賞を制してオールカマーに臨み、1~5人気に支持されたものの、裏切る結果となっている。

近年では、2017、20~22年で牝馬が出走機会4連勝(18、19年の牝馬は出走なし)と、牝馬優勢にあるオールカマー。一方、4歳牡馬の優勝は2018年のみで、その時はワンツーを決めたが、1着レイデオロ、2着アルアインと、ともにクラシックを制していたGI馬だった。

今回は強豪相手に試金石の一戦となるローシャムパーク。未知の魅力たっぷりの本馬だが、前走函館記念組の不振や、クラシック実績のない4歳牡馬が、この舞台で通用するのが難しい面を考えると、人気になりすぎるようなら妙味はないと考え、ここは思い切って「消し」でいきたい。

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著者プロフィール

石川豊●いしかわゆたか 20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。