バドミントンの強豪選手が集う全国屈指の街として知られる山口県柳井市で、新星が羽ばたこうとしている。柳井中学校2年の阿波芽衣咲(あなみめいさ)さん(14)。8月に高知市で開かれた中学生の全国大会で、シングルスで優勝した。 12日の放課後、阿…

 バドミントンの強豪選手が集う全国屈指の街として知られる山口県柳井市で、新星が羽ばたこうとしている。柳井中学校2年の阿波芽衣咲(あなみめいさ)さん(14)。8月に高知市で開かれた中学生の全国大会で、シングルスで優勝した。

 12日の放課後、阿波さんは柳井市役所へ行き、井原健太郎市長に全国大会優勝を報告した。決勝で、連覇を狙う青森の3年生と対戦。フルセットまでもつれて相手が先にマッチポイントを握ったが追い付き、振り切った。「苦しかったが『この状況を楽しもう』とコーチに声を掛けられて、なんとか勝つことができた」。そう振り返った阿波さんは「優勝できてうれしい。もっと自分のレベルを上げたい」と話した。

 阿波さんがその足で向かったのは柳井商工高校の体育館。全国高校総体を制した強豪校の先輩たちと練習するためだ。

 阿波さんはコートを縦横無尽に走り回り、ラリーを続けていく。前後左右の揺さぶりにも素早く切り返す。全身を使って打ち込むスマッシュは、全国レベルの高校生に遜色ない迫力だ。

 相手の攻撃を粘り強く拾ってつなぐプレーが持ち味で、「ラリー派」を自認する。打ち合いが続けば続くほど楽しいという。バドミントン部顧問の鹿嶋公康教諭(40)は「勝ちにこだわる姿勢がすごい。苦しい場面でも球を返せる粘り強さがある」と評価する。

 両親はバスケットボールをやっていたが、「人とぶつかるのがいや」でバスケは回避。祖母と遊びでやっていたバドミントンが楽しかったので、小1の冬から始めた。すぐに頭角を現し、小学生の全国大会で3連覇を達成した。

 「見学に来た時に雰囲気がとてもよく、ここで強くなりたいと思った」と、柳井中のバドミントン部に入った。

 週の半分は、柳井商工で汗を流す。先輩たちとの練習はハードだが、「一人ひとりの意識が高い。きつい練習でも声を掛け合って頑張らせて下さる」と感謝する。

 自他共に認める負けず嫌い。全国高校総体のシングルスで優勝した柳井商工の宮崎友花さんと練習することもある。世界ジュニア選手権で優勝した実力者だが、「勝てないって分かっているけど、点数を取れなかったら悔しい。次やったらもうちょっと点数を取りたい」とひるまずに向かっていく。

 昨年、韓国であった国際大会のU15部門で準優勝し、ジュニアナショナルチーム(U16)にも選ばれている。照準を定めるのは2028年のロサンゼルス・オリンピック。「金メダルを取りたい」(山野拓郎)

■阿波芽衣咲さん(14)

 福岡県生まれ。2022年、全国中学校バドミントン大会でシングルス5位、団体3位。国際大会の韓国ジュニアオープンU15シングルス2位。9月に北九州市であった全日本ジュニアでは「ジュニア新人の部」シングルスを制した。23年、16歳以下の選手を対象にした「国際バドミントン庄内2023」で優勝した。「鬼滅の刃」の大ファン。

◆yabは19日午後5時33分からの「Jチャンやまぐち」で放送予定です。