ラグビーのリーグワン1部、リコーブラックラムズ(BR)東京は東京都世田谷区に拠点を持つ1953年創部の古豪です。フランスで開催中のワールドカップ(W杯)日本代表にFWアマト・ファカタバ選手(28)を送っています。期間中、折に触れて所属選手…

 ラグビーのリーグワン1部、リコーブラックラムズ(BR)東京は東京都世田谷区に拠点を持つ1953年創部の古豪です。フランスで開催中のワールドカップ(W杯)日本代表にFWアマト・ファカタバ選手(28)を送っています。期間中、折に触れて所属選手が競技や仲間の魅力を語ります。初回は、元日本代表FWの松橋周平選手(29)です。

     ◇

■深すぎる「双子」の関係

 正直に言います。嫉妬を覚えたし、めちゃくちゃ悔しかった。自分があそこに立っていたかった。

 チームメートで同じポジションのアマトの活躍を見て、素直にそう感じました。でも僕はいま、フランスでなく世田谷にいる。それが現実です。アマトの存在は、自分を成長させる刺激でしかありません。

 大活躍した昨季のリーグ戦以前のアマトは、自分の潜在能力を使い切れない印象でした。速く走れて、体も強い。なのにラグビーというゲームに対する感覚が乏しかった。でも昨季は練習試合から出場を重ねて、自分の能力の使い方が分かるようになりました。

 味方が防御で抜かれてもアマトの足なら戻って追いつける。それを覚えてからは仕事量が格段に上がり、チームの危機を何度も救いました。ラインアウトの防御でもアマトが跳べるようになり、高さで重圧をかけられるようになりました。

 アマトはシャイな性格です。僕が「強いな」と褒めても、日本語で「無理だよ」「疲れたよ」と照れ笑いします。プレーはすごいのに、自分から出しゃばることはしません。

 双子の兄のタラウとはいつも一緒です。アマトがけがで代表から一度外れ、再びW杯メンバーに選ばれることが決まった時も、彼はタラウにだけ連絡を入れました。妻のエミリーさんはSNSで知ったそう。それくらい、アマトとタラウは「ニコイチ」なんです。

 チリ戦の活躍で世界でも知られるようになったけど、彼の持つ能力はワールドクラス。いるべき位置に来たのかな、と思います。次のイングランド戦(日本時間9月18日)も相手のプレッシャーに屈することなく、暴れてほしいです。