奈良市出身の大相撲力士、徳勝龍(37)の現役引退が発表された。2020年の初場所で県出身力士として98年ぶり2人目の優勝を果たすなど、その雄姿はふるさとの人たちの記憶に残る。奈良でゆかりの人たちは引退を惜しみつつ、未来への期待を寄せていた…

 奈良市出身の大相撲力士、徳勝龍(37)の現役引退が発表された。2020年の初場所で県出身力士として98年ぶり2人目の優勝を果たすなど、その雄姿はふるさとの人たちの記憶に残る。奈良でゆかりの人たちは引退を惜しみつつ、未来への期待を寄せていた。

 徳勝龍は高取町の高取幼稚園(当時)に通っていた。幕尻優勝を果たした20年の節分、園を訪れて園児たちと豆まきをしたという。その様子を知るたかとり幼稚園の担任・中井仁美さんは、「集合写真を撮ったとき、いいかおりがしたことを覚えています。引退は残念ですが、新たな道で活躍してほしいです」。

 徳勝龍については、年寄「千田川」の襲名も発表された。「光陽中学校の卒業生として大きく花を咲かせてほしい」。ねぎらいとともに新しい道にエールをおくるのは、同校(橿原市)の奥野学・校長。徳勝龍は在学中は「相撲愛好会」に入っていたという。校内には土俵も。校長室には本人在学中の写真や手形、「新入幕昇進」と記された記念品が飾られていた。

 本人から「決断」を直接聞いたのは、後援会長として支えてきた天理市の石津宏一さん(87)。11日に電話で、引退するとの報告があったという。親方になる地元の英雄について、「あきらめず頑張る相撲を取り、観客がエネルギーをもらえるような力士を育ててほしい」と願っていた。(清水謙司)