今夏の高校野球では、慶応(神奈川)の掲げる「エンジョイ・ベースボール」が話題を呼んだ。高校の部活動において、指導者の影響は大きい。 思い浮かべたのが、女子バレボールで、東京・下北沢成徳高校を率いた小川良樹さん(67)だ。荒木絵里香さん、木…

 今夏の高校野球では、慶応(神奈川)の掲げる「エンジョイ・ベースボール」が話題を呼んだ。高校の部活動において、指導者の影響は大きい。

 思い浮かべたのが、女子バレボールで、東京・下北沢成徳高校を率いた小川良樹さん(67)だ。荒木絵里香さん、木村沙織さんら日本代表選手を育てたことでも知られる。現役の代表では、石川真佑もその指導を受けた1人だ。

 小川さんは今年3月に退任したが、30年以上前から「怒らない指導」を取り入れて、全国12度の優勝を果たした。

 「力のない指導者ほど罰に頼ってしまいます。怒って、選手に言うことを聞かせようとする。自分の若い頃がそうでした」

 実は、30代半ばまで暴力的な指導を行っていた。あるきっかけから考えを改めて、「見る」ことを重視した指導法に切り替えた。

 「他の指導者から『成徳はいい選手が集まるから勝てる』と断言されますが、そうではありません。怒らなくなって、勝つようになったのです」と話す。

 小川さんは悩んだ末に、「バレーが嫌いにならないチーム」をめざすことに。怒らないようになり、試合中の指示も少なくした。主体性を引き出すため、選手の言葉を取り戻す取り組みをしてきたことなど、朝日新聞のロングインタビューで指導のあり方について詳しく語った。