福島県須賀川市出身で大相撲力士の高橋(24)=本名・高橋優太、二所ノ関部屋=が秋場所番付編成会議を経て、新十両に昇進した。序ノ口デビューから1年余。ヒーローに憧れる「緊張しい」が、早いペースで出世の階段を上っている。 「気持ちが引き締まり…

 福島県須賀川市出身で大相撲力士の高橋(24)=本名・高橋優太、二所ノ関部屋=が秋場所番付編成会議を経て、新十両に昇進した。序ノ口デビューから1年余。ヒーローに憧れる「緊張しい」が、早いペースで出世の階段を上っている。

 「気持ちが引き締まりました。緊張とうれしさがあります」

 秋場所(9月10日初日、東京・国技館)の番付が編成された7月26日、愛知県内で新十両記者会見に臨んだ高橋は、顔をほころばせ、こうも言った。

 「ウルトラマンのように、小さな子からも憧れられる存在になりたい」

 高橋が生まれた須賀川市は、特撮ドラマ「ウルトラマン」を制作した円谷プロダクション創業者、円谷英二さんの生誕地だ。中心部の商店街「松明(たいまつ)通り」には、歴代のヒーローや怪獣のキャラクター像が立っている。

 「小さい頃からすごい好き。特に初代やセブン。ティガも」

 ウルトラマンごっこに興じた幼少期に祖父のすすめで相撲大会に出場し、郡山市の道場にも通った。

 須賀川市でも犠牲者が出た東日本大震災に見舞われたのは小学5年の時だ。

 授業が終わり、「帰りの会」の最中だった。家族が迎えに来られた人から下校できた帰り道。校内にガラスの破片が散らばり、道路がひび割れた光景が忘れられない。

 小学校卒業を機に福島を離れ、相撲が盛んな新潟県糸魚川市の能生中、海洋高と進み、日体大へ。大学で個人の主要タイトルは手に出来なかったが、強豪校で主将を務めた実力が二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)の目にとまった。

 緊張でガチガチになるのは昔から。取組で「心臓が飛び出そうになる」のはしょっちゅう。上の空で、まわしを持たずに国技館に行ったこともある。それが土俵に立つと、肝が据わる。

 185センチ、161キロの体で、相手を組み止めて攻める四つ相撲が得意。昨年の名古屋場所の序ノ口デビューから一度も負け越すことなく、初土俵から所要8場所で十両に昇進した。

 年6場所制になった1958年以降では元大関小錦らに並ぶ歴代7位の速さ。師匠の二所ノ関親方から、「(幕内に)3場所以内で行ってくれると思う」と期待されている。

 十両力士がもらえる月給は110万円。出世に伴い、上がっていく。家族を支えたり、東日本大震災の被災地に寄付したりできないか。

 「相撲を通して福島に恩返しがしたいんです。自分の活躍が少しでも福島のみなさまに伝わってほしい。一緒に、毎日毎日頑張っていきたいと思っています」

 そのために、まずはみんなに知ってもらえる活躍をしなければ。目標はやっぱり、ウルトラマンだ。(鈴木健輔)