42戦41敗。全国高校ラグビー大会で苦戦が続く香川県勢の戦績だ。この数字を覆し、県内のラグビー熱を高めるため、小中学生を対象にした新しい試みが始まっている。8日開幕のワールドカップ(W杯)フランス大会を前に、高松市郊外のグラウンドを訪れた…

 42戦41敗。全国高校ラグビー大会で苦戦が続く香川県勢の戦績だ。この数字を覆し、県内のラグビー熱を高めるため、小中学生を対象にした新しい試みが始まっている。8日開幕のワールドカップ(W杯)フランス大会を前に、高松市郊外のグラウンドを訪れた。

 8月の水曜夜7時、小学5年から中学3年までの14人が集まった。楕円(だえん)形のボールの持ち方やパスのタイミングを確認し、汗を流した。ゲーム形式のメニューもこなし、約1時間半の練習を終えた。

 日本ラグビー協会が各地で展開する「放課後ラグビープログラム」の一環。子どもたちが平日にラグビーの練習をする環境を整備しようと、2012年度に始まった取り組みだ。

 参加した生徒たちは「毎日ラグビーをしっかりやりたいと思っていた」「土日にしたことを平日に忘れちゃうから、練習ができてうれしい」と話した。県内の中学でラグビー部があるのは1校。二つある小中学生対象のラグビースクールは土日のみの練習で、多くは他の運動部に所属している。

 香川県クラスでメインコーチを担当するのは、土井剛史さん(45)。高松北高ラグビー部OBで、高松北中・高ラグビー部でコーチを務めた後、現在は多肥小学校に勤務する。

 県ラグビー協会によると、19年のW杯後、県内の競技人口は一時的に増えた。しかし、大阪・花園ラグビー場で冬に開かれる全国高校ラグビー大会で県勢はこれまで1勝止まりで、もともと盛んではない。ラグビー部のある高校は4校で、コロナ禍で入部の勧誘ができず、接触プレーが多いラグビーを避ける影響もあった。今夏時点で試合に必要な選手15人がそろったのは坂出一高のみだった。

 土井さんは、こうした現状を変えたいと、20年から月に2回ほど、大人から子どもまで気軽にラグビーが体験できる場として「South(サウス)タカマツラグビークリニック」を開いている。

 県のラグビー女子チームを国体予選で率いた坂出工業高音楽講師の辻村彩さん(47)もクリニック代表として協力している。「小さい頃にラグビーに触れていても、中学にラグビー部がないことでプレー人口が減る。高校進学を機に県外に行く子もいる。この取り組みで、ラグビーのことを知ってくれる人が増えたら」と話す。

 土井さんは今回のW杯でブームが再来し、追い風になると期待している。「日本代表が活躍してくれればラグビーをしたいという人は増えると思う。頑張ってほしい」(内海日和)