2027年に国民スポーツ大会の宮崎県内開催を控え、県は、宮崎市のひなた宮崎県総合運動公園庭球場のコート24面をすべて、ハードコートに張り替える。利用者団体によって意見が割れたが、国スポ後も意識し、県内の公営施設には1面もハードコートがない…

 2027年に国民スポーツ大会の宮崎県内開催を控え、県は、宮崎市のひなた宮崎県総合運動公園庭球場のコート24面をすべて、ハードコートに張り替える。利用者団体によって意見が割れたが、国スポ後も意識し、県内の公営施設には1面もハードコートがないことやテニス選手の競技力向上、国際大会誘致や合宿などへの活用の期待を込め、方針を決めた。

 県国スポ・障スポ準備課によると、総合運動公園の庭球場は現在、24面とも砂入り人工芝(オムニ)コートだが、国スポまでに耐用年数に達するため、改修する必要がある。

 24面のハードコートは西日本最大規模。国際水準の照明を整備し、さらにうち6面を屋内にして天候の影響を減らし、国際大会の開催や合宿利用が期待できる環境をめざすことにした。

 県は、セメントやアスファルトを合成樹脂で覆うハードコート整備を求める日本テニス協会や県テニス協会、オムニコートの更新を要望する県ソフトテニス連盟などと協議してきたが、合意は得られなかった。

 そこで、県内の公営コートの整備状況を調査し、オムニは各地に215面あるのに対して、ハードは1面もないことなどを踏まえ、昨年12月、24面全面をハードコートに改修する方針を県議会に報告した。

 さらに、日本テニス協会や県テニス協会などは、暑さや天候に左右されない一部コートの屋内化を要望。日本テニス協会は改修後、日本オリンピック委員会(JOC)の競技別強化センターに認定するよう申請するとしており、県は今年7月、6面を屋内化する方針を決めた。

 県テニス協会長の秋田義久さんは「日程が消化しやすい屋内コートがあることは、国際大会を誘致する際に大きい」と語る。

 屋内化については、県ソフトテニス連盟も連名で要望しており、普及指導部長の鶴田務さんは「ハードだからソフトテニスが一切できないわけではない。屋根があることは大会運営に大変有効で、我々にもメリットがある」と説明する。

 県によると、概算の事業費は25億円で、屋内化はコート張り替えを上回る事業費がかかる見通しという。県議会9月定例会では、コートなどの整備費として、23億円を限度額とする債務負担設定に議決を求める。

 県の担当者は「年間を通していろいろなスポーツの合宿ができれば、スポーツランドのブランド向上につながる。国内やジュニアの大会が開催できれば、経済効果も見込めるのではないか」と話す。

 日本テニス協会によると、国際大会は四大大会を頂点とする男子プロテニス協会(ATP)と女子テニス協会(WTA)が運営するツアーと、国際テニス連盟(ITF)が運営する下部の大会がある。今年は男子13大会、女子26大会が国内で予定されている。

 コートからフェンスまでの距離など、開催ができる設備の条件はクラスによって違うが、24面のハードコートは全国でも規模が大きく、屋内が多ければ、大会運営がしやすい利点があるという。(中島健)