専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第114回 ゴルフにおいては一応、どちらも禁止行為であるアドバイスとレッスンについて、今回はお話ししたいと思います。双方、似て非なるもので、まずはプレー中のアドバイスについて。…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第114回

 ゴルフにおいては一応、どちらも禁止行為であるアドバイスとレッスンについて、今回はお話ししたいと思います。双方、似て非なるもので、まずはプレー中のアドバイスについて。

 前述のとおり、ラウンド中、同伴競技者同士のアドバイス行為は禁じられています。これは”フェアプレー精神にのっとり”というやつで、特定の人間に有利な情報をもたらさないことになっています。

 ただし、キャディーさんからのアドバイスは関係ありません。みんなのキャディーですから、グリーン上でラインがどっちに切れるなど、アドバイスしてもらっても結構です。

 ついでに言うと、客観的な情報は共有できるので、それはアドバイス行為にはなりません。例えば、「グリーン方面はいつもアゲンストの風が吹いている」とか、「グリーンは池に向かって順目で速い」とか、そういう情報はプレーヤー全員で共有できます。

 それでは、禁止されているアドバイス行為となる情報って、何でしょう?

 例えば、同伴プレーヤーに「今、何番アイアンで打ったか教えて?」と聞かれて、教えてしまうこととか。別にそれを隠したり、聞いたりしなくても、打った人のキャディーバッグを覗いて、欠けている番手を見れば判断できますけどね。

 そもそも、同伴者が7番アイアンで打ったからって、それが何の情報になるのでしょうか? 負けじと「俺は8番アイアンで」……って、そこを競ってどうする!?

 私はユーティリティー派なので、同伴競技者のアイアンの番手はまったく気にしません。しかも、最近のアイアンはロフトが立ち気味です。要は、昔は7番アイアンだったロフトが、今は8番アイアンになっている場合があります。それは、「俺は8番アイアンで150ヤード飛ぶ!」といった、アマチュアゴルファーの自慢したいニーズに応えているだけです。

 ゆえに、人によってアイアンのロフトの個体差が違いすぎるので、比べても参考にならないのです。むしろ、そういう情報を入れないほうが気持ちよくショットが打てます。

 例えばショートホールで、たまたま自分が4番目に打つことになったとしましょう。そして、前の3人がグリーン手前にショートしている――これは、アゲンストの風が強いのかも。ならば、強めに打ったほうがいいってわかりますよね。

 アドバイスで情報を得るよりも、そういう情報把握のほうが有意義です。

 アドバイスはダメですが、独り言であれば、よさそうです。ゴルフ漫画でもよく「このグリーンは予想以上に切れる、なんてね。独り言だから気にしないで」というシーンがありますから。

 でも、これも余計ですね。だいたい、そんな難しいグリーンを攻略できるわけがないでしょ。独り言を信じて、ヤマをかけてパットを打てば外すのがオチです。まあ、こういうときは「全然切れないじゃん!って、これも独り言です」って、言い返せばいいのです。

 もっとも、ラウンド中に「右肩が落ちている」とか、「スエー(体が横に揺れる)している」とか言われてもね……。それは、アドバイスというより、嫌がらせですよ。そのひと言で相手のペースを崩す作戦にしか見えません。

 個人的には、アドバイスされると叩くので、何も言わないでほしいです。



アドバイスにしろ、嫌がらせにしろ、同伴プレーヤーから何か言われるのは勘弁してほしいものです...

 同様に、キャディーさんも余計なお世話が多いですよね。第1打を打つや、「はい、あんたは7番アイアンね」って、次に打つクラブを渡してきたりしますから。これは、アドバイスを超えた”強要”ですよ。

 私はキャディーさんからクラブを渡されたら、「すごく面倒くさい客だから、自分でやります。必要なときにだけ言いますから」と先に言います。そうすると、キャディーさんは「この客は面倒だなぁ……。あまり近寄らないほうがいい」と思って、その後は積極的に関与しなくなります。

 だいたい、残り60ヤードを8番のユーティリティーで寄せる人間ですよ、自分は。キャディーさんも何のクラブを渡せばいいのか、理解不能でしょう。

 しかも、30ヤードぐらいの寄せに、4本くらいクラブを持っていきますからね。大概のキャディーさんは嫌な顔をします。結果、クラブの回収時には、こっちが「重くて、すみません」って、気を使うハメになるんですけどね。

 たまに、「ほんとクラブの本数が多いと重くて……」みたいな顔を露骨にするキャディーさんがいます。それからは、こっちが気を使って、「アプローチは1本にしなきゃ」って思ったりして。お金を払っているのに、なんで気を使わなくてはならないの!?……って、なんだかなぁ。

 それでは、次に練習場とラウンド中のレッスン行為が禁止のお話を少々。

 練習場でのレッスン禁止が多いのは、周りの人がケガをしないように、という配慮です。レッスンですから、どちらかはすごく下手。どんなボールが飛んでくるのか、心配ですからね。

 あと、レッスンプロの仕事を奪ってしまいますから。素人レッスンが流行っては困るのです。

 それにしても、レッスンプロと常連客が集まっての雑談って、結構うるさいですよね。はっきり言って迷惑。レッスンプロのレッスンは小声で、レンジの端でやってほしいものです。

 最後に、伊豆のゴルフ場で起きた”レッスン行為、殴り込み事件”の顛末について。

 バブルの頃、伊豆のリゾートコースでラウンドしていたのですが、コースが大渋滞でハーフが3時間半もかかるような有様に……。あんまり待たされるものだから、同伴プレーヤーにビギナーがいたので、途中で軽くレッスンの真似事をしていたんですね。

 そうしたら、後ろの組の夫婦が「レッスン行為禁止だぞ~、早く打って!」と怒鳴り込んできました。それで、こっちにはコースのメンバーもいたので、「渋滞しているから、待っているだけだ!」と言い返したら、大口論に。

 最終的には「そんなに打ちたきゃ、先に打てば」と言って、その夫婦に先に打たせたけど、結局やつらも渋滞の中へ。そこからは、「だから、同じだって言ってんのに」と言いながら、うちらのメンバーは打ち込み寸前までボールを打って脅しまくり。相手もバツが悪かったのか、グリーン上でのパットを終えると、蜘蛛の子を散らすように、逃げておりました。

 まあ、我々もそれ以降、レッスン行為はしていませんけどね。要するに、レッスン行為が禁止なのは、”災いのもと”ってことですかね。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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