今年10月に米国フロリダ州で開かれる水上スキーの世界選手権に、大分県中津市の高校生と同市出身の大学生が日本代表として出場する。2人は小学生のころから市マリンスポーツクラブに所属し、同市耶馬渓町の耶馬渓アクアパークで練習を積んできた。同クラ…

 今年10月に米国フロリダ州で開かれる水上スキーの世界選手権に、大分県中津市の高校生と同市出身の大学生が日本代表として出場する。2人は小学生のころから市マリンスポーツクラブに所属し、同市耶馬渓町の耶馬渓アクアパークで練習を積んできた。同クラブから世界選手権の代表が選ばれるのは初めて。

 日本代表に選ばれたのは、県立中津南高耶馬渓校2年の中村成(じょう)さん(16)と立教大2年の坂口稿(こう)さん(19)=埼玉県新座市在住。10月7日から始まる世界選手権に4人の男子チームの一員として出場する。

 中村さんは昨年の全日本選手権で社会人や大学生らを相手に個人総合2位に輝き、坂口さんは1年生だった昨年の全日本学生選手権で個人総合優勝したことなどが評価された。

 2人を育んだ耶馬渓アクアパークは1994年、耶馬渓ダム湖にオープン。全国でも珍しい、市が運営する水上スポーツ施設。モーターボートやジャンプ台を備え、水上スキーやウェークボードの大会も開かれる。マリンスポーツクラブには現在、高校生以下の約20人が所属。水上スキーなどを練習している。

 中村さんは全日本選手権の種目別で優勝経験のある父大悟さん(42)の影響で2、3歳のころから水上スキーを始めた。耶馬渓中1年のときに全日本選手権で、板を回転させて様々な技を競う「トリック」という種目で優勝。昨年はアジア選手権ジュニア部門で個人総合優勝を飾った。

 練習は、季節を問わずほぼ毎日行う。授業を終えると約8キロ離れたアクアパークまで山道を自転車で通う。将来の目標は「世界で活躍する選手」。時間があれば海外のトップ選手の競技動画を見て研究し、冬には練習環境の整った米国で合宿することもある。

 耶馬渓町出身の坂口さんも、幼いころから水上スキーに親しんできた。合宿でアクアパークを訪れる大学生たちを見て「自分もいつかあんなふうに競技をしたい」と、強豪校の立教大への進学を決めた。研究心が強く、上手な外国人選手がいると、ものおじせず英語で教えを請う。

 世界選手権に向け、中村さんは「ただ出場するのではなく、日本も水上スキーが強いということを世界に示したい」。坂口さんは「すごい選手ばかりだが、まず予選を突破したい」と意気込む。

 そして、2人とも「日本代表に選ばれたのはアクアパークという恵まれた環境と周囲の支えがあったから」と感謝する。

 耶馬渓町在住で、2人の成長を見てきた県水上スキー連盟会長の佐藤政秀さん(75)は「彼らの姿に刺激を受けて、続く子どもたちが出てほしい」と期待を寄せる。(ライター・大畠正吾)