「ゆっくりでいいから正確に」「シュートの結果は気にせず、まず足だけを注意して」 8月5日、新潟県燕市での「ゆめづくりスポーツ教室」(県主催)。柏木茂幸さん(62)は、女子プロバスケットボールチーム「新潟アルビレックスBBラビッツ」の選手2…

 「ゆっくりでいいから正確に」「シュートの結果は気にせず、まず足だけを注意して」

 8月5日、新潟県燕市での「ゆめづくりスポーツ教室」(県主催)。柏木茂幸さん(62)は、女子プロバスケットボールチーム「新潟アルビレックスBBラビッツ」の選手2人と一緒に講師を務め、女子小・中学生約40人にシュートまでの足の運び方を教えた。

 出身校でもある新潟市立新潟柳都中(在校時は舟栄中)の校長を最後に定年退職してから1年余りの今年5月、ラビッツのアシスタントコーチに就任した。「60歳を過ぎて、好きなことをさせてもらえるのは、ありがたいこと」。伊藤篤司ヘッドコーチをサポートしながら10月のWリーグ開幕への準備を進める一方、子どもたちへの指導の場にも積極的に加わっている。

 新潟南高で全国大会に4回出場。早稲田大でも主将になり、身長174センチとバスケ選手としては小柄ながら、ポイントガード(PG)として活躍した。

 「180センチあったら実業団入りを考えたかもしれない」と笑いながら振り返るが、郷里に戻って中学の体育教師に。赴任校の部活動を指導しながら、教員チーム「新潟教員」の選手、監督としてバスケに関わり続けてきた。

 「試合で勝つのは二番目。一番うれしいのは子どもたちが上手になること」。教えたことを即座にのみこめる子もいれば、しばらくしてからポンとできるようになる子もいる。「待つということが大事」。バスケ指導は校長を務めた同市立西川中まで続いた。

 今はプロの選手たちと向き合う。「それぞれの良い点を引き出し、ゲームの中で気持ちよくプレーできるよう、助言するのが私の役割だと思っている」

 最後に「将来の夢」を尋ねると、「いつか自分のチームを持ちたいね。どこかのチームでヘッドコーチを務めてみたい」。同世代の記者にはまぶしい言葉が返ってきた。(戸松康雄)