32チームが出場したバスケットボール男子ワールドカップ(W杯)と違い、パリ・オリンピック(五輪)の出場枠はわずか12。強敵ぞろいの中で日本代表がまず1勝を挙げるためには、更なる上積みが不可欠となる。 そこで注目されるのが、日本でも屈指の得…

 32チームが出場したバスケットボール男子ワールドカップ(W杯)と違い、パリ・オリンピック(五輪)の出場枠はわずか12。強敵ぞろいの中で日本代表がまず1勝を挙げるためには、更なる上積みが不可欠となる。

 そこで注目されるのが、日本でも屈指の得点力を持つ八村塁(レーカーズ)の動向だ。今回は「今後のNBAでのキャリアを優先して考慮」したなどとして参加を辞退。この7月にチームと3年の大型契約を結んだ八村からすれば、万全の状態でシーズンを迎えたい気持ちがあったはずだ。

 日本のホーバスヘッドコーチ(HC)は3日の記者会見で八村について、「彼がやりたいんだったら、彼から声をかけていいと思う。私たちのスタイルは変わらない。彼が来るなら、うちのバスケをやらせます」と言い切った。

 今大会の日本代表は特定のスター選手に頼ることなく、チーム全員で戦って歴史的な3勝を挙げた。八村が加わっても、HCはそのスタイルを崩すつもりはないことを改めて宣言した。

 ただ、大差で敗れたドイツやオーストラリアのような強豪から白星を挙げるには、相手が守備で警戒を強めざるを得ない強烈な個の力も必要になる。

 「ぜひ彼には入ってほしいけど、彼がもう(代表を)やらないんだったら、このメンバーでいいチームを作りましょう。自信、あります」。ホーバスHCは力強く言った。

 ただ、突き放すような口調ではなかった。チームを優先するという当たり前の原則を示すことで、過度な負担を25歳にかけたくないという配慮に思えた。

 日本協会の東野智弥・技術委員長は「八村も見てくれていたと思う。それで、ワクワクしてくれたと思う」と期待した。W杯を経て、八村も参加したくなるような魅力のある代表チームになったことは事実だ。(野村周平)