(バスケW杯、日本86―77ベネズエラ) 第4クオーター、残り約8分。日本は15点差まで広げられた。絶体絶命の展開で、追い上げのスイッチを押したのは両チーム通じて最多となる23得点を挙げた比江島慎(まこと)だ。後ろにステップを踏みながらの…

 (バスケW杯、日本86―77ベネズエラ)

 第4クオーター、残り約8分。日本は15点差まで広げられた。絶体絶命の展開で、追い上げのスイッチを押したのは両チーム通じて最多となる23得点を挙げた比江島慎(まこと)だ。後ろにステップを踏みながらの3点シュートを決めるなど、終盤だけで17点。爆発的な得点力で、チームを大逆転に導いた。

 「絶対に自分たちなら(逆転)できる」。最年長の33歳はそう信じていたという。「ネバーギブアップ」がこのチームの身上。老練な相手のペースに巻き込まれる苦しい展開でも、攻守に動き続ける仲間たちの姿に「いつか相手の足は止まる」とベンチから冷静に状況を見極めていた。

 長年、代表で苦労をともにしてきた渡辺雄太は笑う。「あれが僕が知っているマコ(比江島)。(力を発揮すれば)彼を止められる選手は世界でもいない。いつもやってほしいんですけど」。日本の運命を左右する大一番で最高のプレーを見せた先輩をいじりながら、たたえた。

 接触をいとわないベネズエラの荒っぽさに日本の連動性は崩された。ここまで1試合平均23・3得点と大活躍のホーキンソンは疲れからか前半、無得点に終わった。40分のうち日本がリードしていた時間は、4分強しかなかった。

 W杯で勝つことの難しさを改めて思い知らされた一戦。しかし、今の日本はあきらめることを知らない。ホーバスヘッドコーチが選手たちに言い続ける「ビリーブ(信じる)」を体現し、日本が目標のパリ五輪出場に王手をかけた。(野村周平)

 渡辺 「みんなが一つになって勝利に向かって戦っていけた。このチームが誇らしい。まだまだこのユニホームを着て、ずっと一緒にプレーしたい。次も絶対に勝ってパリを決めて、死ぬまで代表活動したいです」

 ホーバスヘッドコーチ 「本当に疲れた。最高。だけど、最初から、最後のプレーをやってくれたら本当に最高です」