街づくりに健康の視点を取り入れた「スマートウェルネス」構想に基づく「健幸都市」をめざす静岡県三島市。健康づくりの核と位置づけるスポーツのなかでも、長い時間をかけて市民スポーツとして地域に根付いてきたバレーボールが特別な存在となっている。 …

 街づくりに健康の視点を取り入れた「スマートウェルネス」構想に基づく「健幸都市」をめざす静岡県三島市。健康づくりの核と位置づけるスポーツのなかでも、長い時間をかけて市民スポーツとして地域に根付いてきたバレーボールが特別な存在となっている。

 三島市とバレーボールの関係が深まったのは、1964年に男子の強豪チーム「東洋レーヨン九鱗(きゅうりん)会」(現・東レアローズ)が本拠地を大津市の大津工場から三島工場へと移したことがきっかけだった。

 この年に開催された東京五輪でバレーボールが正式競技となり、「東洋の魔女」と呼ばれた日本女子が金メダルを獲得した。こうした時代背景もあり、空前のバレーボールのブームが起き、PTAや地域、婦人会を中心にママさんバレーのチームが全国各地で続々と結成された。

 市の担当者によると、このときの「東洋レーヨン九鱗会」の監督が現在の伊豆の国市出身で、バレーボールの地域での普及に尽力し、県東部がママさんバレーの盛んな土地柄になっていったという。

 現在の東レアローズは、男子Vリーグの強豪チームとして多くの五輪選手や日本代表選手を輩出しているが、地域と密着したチームという姿勢はいまも脈々と受け継がれている。

 市内の小中学校でのバレーボール教室開催、日本大学国際関係学部矢嶋ゼミと市観光PR動画の制作、ホームゲームへの市民200人招待……。市が進めるスマートウェルネス構想を実現するために、いまや東レアローズは欠かせない存在だ。本拠地として様々な環境が整っていることがプラスに働き、世界の一流チームも三島に目を向けるようになった。

 22、23日には世界最高峰のイタリア・プロバレーボールリーグ・セリエAに所属する名門クラブ「パッラヴォーロ・パドヴァ」アカデミーのコーチらが三島市を訪れ、市民体育館で211人の小中学生を指導した。子どもたちにとって技術を学ぶとともに、社会性や国際性を育む機会となった。

 9月末には、東京・国立代々木競技場で行われるパリ五輪予選を控えた世界ランキング2位の男子米国代表が、三島の東レ三島工場体育館で直前合宿を行う。1週間の滞在中、小学生が練習を見学するなど地元との交流も企画している。

 豊岡武士市長は25日の記者会見で、「単に競技力を高めるだけでなく、人間力を培っていくことができるのがスポーツ。子どものときから大いにスポーツに親しんでほしい」と話し、市政の柱の一つであるスポーツ振興の重要性を強調した。(南島信也)

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 男子バレーボール選手の本気のスパイクを受けたい――。三島市のふるさと納税返礼品「レシーブ体験」が、昨年に続き今年も実施されることになった。時速100キロ超の本気アタックを体感でき、昨年は受け付け開始から45分で定員が埋まった人気企画だ。

 この企画は、三島市を本拠地とするVリーグの強豪、東レアローズの選手のスパイクをレシーブできる権利と、富士山三島東急ホテル宿泊券をセットで返礼品とするもの。

 寄付金額は7万1千円。10月21日に同ホテルのダブルルームに宿泊。翌22日、東レアローズのホーム・三島市民体育館でヴォレアス北海道との試合を観戦し、試合後に好きな選手によるレシーブ体験や選手全員との記念写真撮影がある。選手のサイン入りグッズもプレゼントされる。昨年は男性5人、女性7人が体験した。

 定員は12人で、ふるさと納税サイト「ふるなび」で9月12日午後1時に掲載される。(南島信也)