実業団の卓球日本一を決める全日本実業団選手権大会の男子団体戦で、日鉄物流和歌山支店(和歌山市湊)を拠点とする日鉄物流ブレイザーズが優勝を飾った。同大会ではこれまで準優勝が最高成績。創部50年の節目でつかんだ初優勝だった。 大会は7月27日…

 実業団の卓球日本一を決める全日本実業団選手権大会の男子団体戦で、日鉄物流和歌山支店(和歌山市湊)を拠点とする日鉄物流ブレイザーズが優勝を飾った。同大会ではこれまで準優勝が最高成績。創部50年の節目でつかんだ初優勝だった。

 大会は7月27日から4日間の日程で岐阜市で開かれた。ダブルス1試合、シングルス4試合の計5試合によって勝敗を決める団体戦。大会は二つのステージ(S)に分かれており、第1Sがリーグ戦、第2Sがトーナメント形式で競った。

 チームは、第2Sの準々決勝までストレート勝ちを見せた。準決勝の相手は、プロリーグ所属の選手がそろう強敵のファースト(千葉)。1試合目、藤村友也選手(29)はシングルスで、世界ランキング最高9位の松平健太選手に勝利。「相手が格上だったので思い切ってやるだけだった」と藤村選手。松下海輝キャプテン(29)は「藤村が先陣を切ってくれて、いけるんじゃないかと思った」。結果は3―2で勝利した。

 決勝はシチズン時計(東京)と対戦。6月にあった日本リーグ前期大会で敗れるなど直近で3敗と苦しめられてきた相手だった。シングルスで高見真己選手(24)と藤村選手が勝利。高見、藤村両選手のダブルスでも勝ち、3―2で競り勝った。

 定松祐輔選手(27)は「チーム力が勝てた要因だ」と胸を張る。準決勝や決勝に出場機会がなかった一ノ瀬拓巳選手(25)は、試合前の練習相手やビデオ撮影などをして仲間をサポートした。杉井孝至監督(54)は「強い相手と対戦しても自分たちの力を出し切れれば勝てると身にしみて感じた」と話した。

 現在の部員は5人。みんな中学や高校で親元を離れ、強豪校で卓球に打ち込んできた。会社ではフルタイムで勤務し、仕事を終えてから練習する。残業もあって部員がなかなかそろわない日もある。それでも部員たちは大好きな卓球を続けるために「自分で選んだ道だから」とプレーを磨いてきた。藤村選手は「仕事も卓球も両方に全力でしんどいと思うときも多いが、両立をめざして頑張っている」と言い切る。

 11月には日本リーグ後期大会を控える。前期大会は勝ちきれずに3位だった。定松選手は5月に第1子の長女が誕生し、「子どものためにも頑張りたい」と語った。(伊藤秀樹)