バスケットボールの男子ワールドカップ(W杯)は25日、日本(沖縄アリーナ)、フィリピン、インドネシアの3カ国共催で開幕する。前回大会で5戦全敗だった日本代表は、来夏のパリ五輪出場権を獲得できる「アジア1位」を目標に掲げ、1次リーグでいずれ…

 バスケットボールの男子ワールドカップ(W杯)は25日、日本(沖縄アリーナ)、フィリピン、インドネシアの3カ国共催で開幕する。前回大会で5戦全敗だった日本代表は、来夏のパリ五輪出場権を獲得できる「アジア1位」を目標に掲げ、1次リーグでいずれも格上の相手と対戦する。トム・ホーバスヘッドコーチ(HC)率いる「アカツキジャパン」の挑戦が始まる。

■W杯1次リーグの日本の日程と各組の組み合わせ

【E組】

25日午後9時10分 日本(36)―ドイツ(11)

27日午後9時10分 日本―フィンランド㉔

29日午後8時10分 日本―オーストラリア(3)

A組 アンゴラ㊶、ドミニカ共和国㉓、フィリピン㊵、イタリア(10)▼B組 南スーダン(62)、セルビア(6)、中国㉗、プエルトリコ(20)▼C組 米国(2)、ヨルダン㉝、ギリシャ(9)、ニュージーランド㉖▼D組 エジプト(55)、メキシコ㉛、モンテネグロ(18)、リトアニア(8)▼F組 スロベニア(7)、カボベルデ(64)、ジョージア㉜、ベネズエラ(17)▼G組 イラン㉒、スペイン(1)、コートジボワール㊷、ブラジル(13)▼H組 カナダ(15)、ラトビア㉙、レバノン㊸、フランス(5)(丸数字やカッコ内数字は世界ランク。A~D組はマニラ、E、F組は沖縄、G、H組はジャカルタ開催)

■初戦で当たるドイツは八村塁の元同僚が司令塔

 NBAのスター選手だったノビツキーが主力を担って銅メダルを獲得した2002年以来の表彰台を狙う。昨秋の欧州選手権は3位だった。

 司令塔シュレーダー(ラプターズ)が中心。昨季はレーカーズで八村塁と同僚だった。ともにマジックに所属するワーグナー兄弟は弟のフランツがシュート力、兄のモリッツが高さをチームにもたらす。欧州選手権では全体2位の平均92点。NBA選手を中心とした攻撃力が売りだ。

■2戦目のフィンランド、マルッカネンが大黒柱

 213センチのフォワード、マルッカネン(ジャズ)が大黒柱だ。昨秋の欧州選手権では1試合平均27・9得点を記録し、ギリシャのスーパースター、アデトクンボ(バックス)に次いで全体2位だった。NBAでも活躍し、初のオールスターに選出、最も成長した選手に送られる「MIP」を受賞した。

 W杯は2014年以来2度目。欧州選手権では世界ランク1位のスペインを苦しめるなど、チーム全体の潜在能力は高い。

■3戦目はオーストラリアは世界最高レベル

 東京五輪で銅メダルを獲得した世界トップレベルのチームだ。昨季はネッツで渡辺雄太の同僚だった35歳のミルズ(ホークス)、20歳のギディー(サンダー)のガードコンビはスピード、得点力ともに強烈。特にギディーはNBAでも将来を有望視される若手のひとりだ。

 昨年のアジアカップ準々決勝では日本を99―85で破った。216センチのメイカーがチームトップの21点。日本戦ではインサイド中心に攻めてくる可能性がある。

■日本代表の顔ぶれ

(2)富樫勇樹(とがしゆうき)(30)167センチ、65キロ、PG、千葉J

 Bリーグ日本人初の1億円プレーヤー。体格を不利にしないスピードと巧みなパスで得点の起点になる。

(5)河村勇輝(かわむらゆうき)(22)172センチ、68キロ、PG、横浜BC デビューから1年余りで代表に欠かせない存在となった。身長172センチの不利を補う俊敏なフットワークと体の強さ。Bリーグでアシスト王に輝いた視野の広さとパスの多彩さ。昨季のリーグでは前シーズンの約2倍となる1試合平均19・5点を記録した。

 ただ、河村自身が「代表で自分に最も求められている」と認識するのが流れを変える守備だ。「球への執着や機動力は(福岡第一)高校で培ったものが大きい。井手口(孝)先生が伸ばしてくれた基礎が今につながっている」と感謝する。

 海外でのプレーを志し、このほど八村塁(レーカーズ)らが所属するエージェントと契約。W杯での活躍が、夢を現実に近づける。

(6)比江島慎(ひえじままこと)(33)191センチ、88キロ、SG、宇都宮

 「比江島ステップ」と呼ばれる独特なリズムのドライブや、3点シュートなど多彩な攻撃が持ち味。

(12)渡辺雄太(わたなべゆうた)(28)206センチ、97キロ、SF、サンズ

 代表唯一のNBAプレーヤー。正確な3点シュートや、献身的なディフェンスが光るチームの大黒柱。

(18)馬場雄大(ばばゆうだい)(27)195センチ、90キロ、SG、無所属

 代名詞はジャンプ力を生かしたダンクシュート。NBA契約をめざして武者修行中。父も元日本代表。

(19)西田優大(にしだゆうだい)(24)190センチ、90キロ、SG、三河

 3点シュートを得意とする左利きのシューターだが、PGもこなすユーティリティープレーヤー。

(24)ホーキンソン・ジョシュ(28)208センチ、106キロ、C・PF、渋谷

 米国出身で今年2月に日本国籍取得。ゴール下の強さに加え、3点シュートやパスなど、内外で存在感。

(30)富永啓生(とみながけいせい)(22)188センチ、80キロ、SG、ネブラスカ大

 米国の大学で活躍する天才シューター。3点ラインの後方からも軽々とゴールを決める。日本の得点源。

(31)原修太(はらしゅうた)(29)187センチ、96キロ、SF、千葉J

 昨季Bリーグのベストディフェンダーに選出された。高い身体能力があり激しい守備が持ち味。

(75)井上宗一郎(いのうえそういちろう)(24)201センチ、105キロ、PF、越谷

 福岡大大濠高、筑波大出身。2メートル超ながら抜群のシュート力を買われて起用された若手のビッグマン。

(91)吉井裕鷹(よしいひろたか)(25)196センチ、94キロ、SF、A東京

 代表の先発に定着しつつある「ホーバス・チルドレン」の一人。海外勢に劣らぬ身体能力の持ち主。

(99)川真田紘也(かわまたこうや)(25)204センチ、110キロ、C、滋賀

 小学校までラグビーなど様々な競技に親しみ、中学からバスケットを始めた。ハッスルプレーが身上。

     ◇

※(数字)は背番号、かっこ内数字は年齢、PGはポイントガード、SGはシューティングガード、SFはスモールフォワード、PFはパワーフォワード、Cはセンター

■日本女子を銀メダルに導いたヘッドコーチ

 トム・ホーバス〈Tom Hovasse〉 1967年生まれ、米コロラド州出身。ペンシルベニア州立大卒。90年代前半にトヨタ自動車の主力として活躍。その後NBAホークスに入団し2試合出場。現役引退後、女子のENEOSでプロコーチに。17年、女子日本代表HC就任。21年東京五輪で銀メダルに導く。

■日本のW杯の成績

(1)1963年 13位

(2)1967年 11位

(3)1998年 14位

(4)2006年 17位

(5)2019年 31位

(6)2023年 ? 

※2010年まで名称は世界選手権。14年からW杯