バスケットボールの男子日本代表(世界ランキング36位)は25日夜、沖縄アリーナで行われるワールドカップ(W杯)初戦でドイツ代表(同11位)に挑む。 ドイツはアメリカ代表(同2位)との強化試合で後半途中までリードするなど、世界トップクラスの…

 バスケットボールの男子日本代表(世界ランキング36位)は25日夜、沖縄アリーナで行われるワールドカップ(W杯)初戦でドイツ代表(同11位)に挑む。

 ドイツはアメリカ代表(同2位)との強化試合で後半途中までリードするなど、世界トップクラスの強豪。対する日本は強化試合でスロベニア(同7位)に35点差で敗れるなど仕上がりに不安を残す。

 NBA選手の数で比べると、ドイツは司令塔のシュレーダー(ラプターズ)ら4人。一方、日本は渡辺雄太(サンズ)だけだ。

 シュレーダーは24日の記者会見で「中核となる選手はもう何年も一緒に戦ってきた。僕たちは前進し続けたいし、日々良くなるように努力したい」と話しており、チームの一体感への自信が漂っていた。

 日本は過去のW杯(前身の世界選手権を含む)で欧州勢に10戦全敗している。前回W杯と東京オリンピック(五輪)では8戦全敗。順当なら、ドイツ勝利は揺るがない。

 それでも、日本の選手たちが決戦に臨む表情は晴れ晴れとしていた。

 主将の富樫勇樹はいう。

 「チームで誰一人、(勝つことを)不可能だと思っている選手、スタッフはいない。勝つために、この2カ月の合宿で準備してきた。仲間、チームを信じてやっていきたい」

 NBAのルールにより、28日前にならないと代表チームに合流できない渡辺を除く選手たちは、Bリーグのシーズン終了後、わずかに休んだだけで代表合宿に参加。合宿と試合を繰り返し、チーム力を高めてきた。渡辺は「練習は間違いなくどこの国よりもやっている」。

 戦い方はシンプルだ。

 攻撃は3点シュートを多く打ち、高確率で入れること。守備は相手より早くセットして40分間、重圧をかけ続けること。守りから攻めへの切り替えを早くして、日本の俊敏さと運動量を生かせる速いテンポの戦いに引き込むこと。

 直前の三つの強化試合の数字を見れば、日本がやりたいことは分かる。

 放った3点シュートの成功数は、アンゴラ戦が41本中11本、フランス戦が44本中13本、スロベニア戦が46本中10本。いずれも成功率は20%台と落ち込んだが、これが目標の4割に近づけば、試合の様相はがらりと変わる。

 渡辺の言葉は核心を突いている。

 「ペースを速くして3点シュートを打つ。それを決めるか決められないか。悪い言い方かもしれないけど、うちはギャンブルみたいなバスケットをやっている。3点シュートの確率を上げれば、どのチームでも勝てる。そこを突き詰めていくしかない」

 シュートは「水物」と言われるが、すべてを運にゆだねるわけではない。

 攻撃機会につながるリバウンドを獲得するため、「ヒットファースト」(先に当たれ)を合言葉に、細かな位置取りから徹底して練習してきた。高さの不利を、動き出しの早さと位置取りでカバーする。

 トム・ホーバスHCが女子の日本代表を銀メダルに導いた東京五輪でも、日本は1次リーグ初戦で強豪フランスを破って、波に乗った。

 4月末に組み合わせが決まってからドイツに照準を合わせ、試合を分析するだけでなく、国内外の関係者に話を聞いて相手のプレースタイルの癖、選手やHCの人柄まで調べてきた。

 ホーバスHCは24日の記者会見で「私たちはアンダードッグ(格下)だけど、ランキング上位の国と戦うのは楽しみです」と笑顔を浮かべた。

 やるべきことは絞り込んだ。あとは、やるだけだ。(野村周平)