前回の記事で、米『Forbes』誌の電子版による「世界で最も稼ぐサッカー選手」を伝えたが、今回は野球選手のランキングを紹介したい。今オフでのMLB移籍の噂もある大谷だが...... 6月に発表された「世界で最も稼ぐスポーツ選手100人…

 前回の記事で、米『Forbes』誌の電子版による「世界で最も稼ぐサッカー選手」を伝えたが、今回は野球選手のランキングを紹介したい。



今オフでのMLB移籍の噂もある大谷だが......

 6月に発表された「世界で最も稼ぐスポーツ選手100人」にランクインしたベースボーラーは22人。サッカーやテニスのようなワールドワイドな競技ではないために広告料による収入が比較的少なく、トップはクレイトン・カーショウの28位と、最高額は他のスポーツと比べると低い。だが、2000万ドル以上の年収を手にする選手は実に36人。これは、アメリカのプロスポーツで最多だ(次点はNBAの29人)。

 こちらも前回のリスト同様に、2016年6月1日から2017年6月1日までの1年間に選手たちが手にしたサラリー、ボーナス、賞金、広告収入、ライセンス料、肖像権などによる収入を、同誌の調査によってランク付けしたものである。

※日本円は、7月14日現在の為替レート(アメリカドル1ドル=113.66円)で換算

1位(全体28位):クレイトン・カーショウ/ロサンゼルス・ドジャース、アメリカ

 サイ・ヤング賞に3度輝いた29歳の左腕が、3年連続で野球選手の稼ぎ頭となった。2014年に7年で2億1500万ドル(約243億円)の巨額契約を結んだカーショウは、この1年の総収入が3330万ドル(約38億円)。3250万ドルの給料を球団から受け取り、広告料(アンダーアーマーやメルセデス・ベンツなど)の収入が80万ドルある。なお、もう1度サイ・ヤング賞を獲得すれば、100万ドルのボーナスを得ることになっている。

2位(全体36位):デビッド・プライス/ボストン・レッドソックス、アメリカ

 次点も左腕の先発投手だ。2012年のサイ・ヤング賞に選出された31歳は、一昨年の12月に7年で2億1700万ドル(約246億円)と、投手として総額では史上最高額となる契約でレッドソックスに加入。この1年の総収入は3055万ドル(約35億円)で、球団から3000万ドルの給料と、ナイキやローリングスなどのスポンサーから55万ドルの広告収入を受け取っている。ちなみに、1位のカーショウと同様に、プライスも2018年シーズン終了後に契約を更新しない権利を持っている。これから1年半の活躍次第では、さらなる大型契約を交わす可能性もありそうだ。

3位(全体37位):ミゲル・カブレラ/デトロイト・タイガース、ベネズエラ

 球界を代表するスラッガーが3位にランクイン。現在34歳の右打者は、これまでにオールスターに11度出場し、ア・リーグのMVPに2度選出され、3冠王とワールドシリーズ制覇も1度ずつ経験している。この1年の総収入は3030万ドル(約34億円)で、内訳は球団からのサラリーが2830万ドル(2014年3月に8年間で2億4800万ドル:約281億円の契約を結んだ)、ウィルソンやオークリーなどの企業からの広告料が200万ドルとなっている。

4位(全体40位):ジャスティン・バーランダー/デトロイト・タイガース、アメリカ

 こちらもタイガースに所属する34歳が、同い年の同僚であるカブレラに続いた。2011年にMVP、サイ・ヤング賞、投手3冠を達成した右腕もまた、主な収入は複数年の巨額契約にあり、2013年に7年間で1億8000万ドル(約204億円)の契約を現所属先と結んでいる。ここ1年の総収入は2880万ドル(約33億円)で、タイガースから2820万ドル、スポンサーのアンダーアーマーやテイラーメイドなどから60万ドルの広告料を受け取っている。

5位(全体49位):アルバート・プホルス/ロサンゼルス・エンジェルス、ドミニカ

 ナ・リーグ3度のMVPと2度のワールドシリーズ制覇を誇るベテランバッターが5位に。現在37歳となった右打ちの一塁手は、2012年シーズンの前に現所属先と10年間で2億5400万ドル(約287億円)の大型契約を結んでいる。この契約はちょっと特殊で、平均的に支払われるものではなく、年を経るごとにサラリーが増える契約になっていて、ここ1年では2530万ドルを手にした。加えて、ナイキなどから200万ドルの広告収入を得ており、総所得2730万ドル(約31億円)を得ている。
 
 6〜10位の選手と収入は以下の通り。

6位(全体51位):ライアン・ハワード/元フィラデルフィア・フィリーズ、アメリカ
総額:2700万ドル(サラリー:2670万ドル、広告収入など:30万ドル)=約31億円

7位(全体53位):ロビンソン・カノ/シアトル・マリナーズ、ドミニカ
総額:2660万ドル(サラリー:2410万ドル、広告収入など:250万ドル)=約30億円

8位(全体58位):フェリックス・エルナンデス/シアトル・マリナーズ、ベネズエラ
総額:2580万ドル(サラリー:2530万ドル、広告収入など:50万ドル)=約29億円

9位(全体61位):CCサバシア/ニューヨーク・ヤンキース、アメリカ
総額:2560万ドル(サラリー:2500万ドル、広告収入など:60万ドル) =約29億円

10位(全体64位):バスター・ポージー/サンフランシスコ・ジャイアンツ、アメリカ
総額:2460万ドル(サラリー:2060万ドル、広告収入:400万ドル)=約28億円

 ちなみに、ヤンキースの田中将大は総収入2300万ドル(約26億円)で15位(全体75位)に入っている。今オフでのメジャー行きが噂される日本ハムの大谷翔平は「それ以上の収入になるのでは?」とも言われていたが、昨年12月に事態が一変した。

 新たに結ばれたメジャーリーグの新労使協定により、海外選手獲得に伴う契約金制限の適用年齢が、23歳未満から25歳未満に引き上げられたのだ。今年で23歳になる大谷がポスティングシステムでMLBに移籍を決めた場合、年俸や出来高などを含めて球団から得られる収入は、マイナー契約の上限である575万ドル(約6億5000万円)ほどになるとみられている。

 今後も日本で好成績を残し続け、25歳を過ぎてから海を渡れば、大谷は間違いなくこの『Forbes』誌のリストに入ってくるだろう。しかし、本人は契約金の制限について「金額は関係ない」とも話している。ケガで長らく戦列を離れていた大谷の、後半戦の活躍と今オフの動向が気になるところだ。