ラグビーの国際強化試合「リポビタンDチャレンジカップ」は5日、東京・秩父宮ラグビー場で最終第5戦があり、日本代表(世界ランク12位)はフィジー代表(同10位)に12―35で敗れた。観衆は2万2137人。 日本は前半7分、FWラブスカフニが…

 ラグビーの国際強化試合「リポビタンDチャレンジカップ」は5日、東京・秩父宮ラグビー場で最終第5戦があり、日本代表(世界ランク12位)はフィジー代表(同10位)に12―35で敗れた。観衆は2万2137人。

 日本は前半7分、FWラブスカフニが危険なタックルで退場。前半で3トライを許すなどFW戦で後手に回った。後半に2トライを返したが、トンガ戦に続く2連勝はならなかった。

 9月8日開幕のワールドカップ(W杯)フランス大会を控える日本は、15日にW杯メンバー33人を発表。26日に敵地でイタリア代表と本番前最後の強化試合を行う。

■失った大事なテストの機会

 この負け方はさすがに想定外だろう。W杯に向けた国内壮行試合と位置づけられた一戦で、日本に再び試練が襲いかかった。

 先制された直後の前半7分、フランカーのラブスカフニが危険なタックルで退場。2週間前、札幌でのサモア戦でリーチが退場となったときと同様に、残り時間を14人で戦わざるを得なくなった。

 ラブスカフニは2019年W杯で日本躍進の立役者の一人だ。股関節のけがから、手術を経て復帰を目指してきた。ジョセフヘッドコーチ(HC)は絶大な信頼を寄せるからこそ、控えからではなく即先発で起用した。

 どれだけタフに戦えるか、体の状態はどこまで戻っているのか。7分では測りようもなかった。本番までの実戦は、今月下旬にあるイタリア戦を残すのみ。限られた時間のなかで、大事なテストの機会を失ったことが悔やまれる。

 加えて、連係が深まりつつあった素早く展開する「アタッキングラグビー」も、14人では真価を見せることは難しかった。

 試合後のジョセフHCは、敗戦のなかにあったわずかな光に目を向けた。何度も相手防御を破ったCTB長田、急遽(きゅうきょ)のロック出場となったFW下川の奮闘をたたえ、こう続けた。「最後までチームのスピリットを感じた」。数的不利で70分以上を戦い、後半に2トライを奪い返す「反骨心」。それだけは収穫だ。(松本龍三郎)

■感じた世界の進化の速さ

 4年前の7月、岩手・釜石であったフィジーとの強化試合で、日本は前半に4トライを奪って34―21と快勝している。振り返れば、あの2019年W杯イヤーの初陣で得た自信が、本番での躍進へとつながった。

 この日は立場が逆転した。FWラブスカフニの一発退場は痛かったが、序盤の密集戦からフィジーの圧力に受け身となっていた。

 4年前、日本には南半球最高峰のスーパーラグビー(SR)に参戦するサンウルブズがあった。しかし、20年で解散。22年にはフィジー拠点のチームがSRに加わり、高強度の試合経験を重ねている。日本が弱くなったのではなく、フィジーが強くなったのだ。

 国内5連戦で1勝4敗。最後にショートパスでつなぐ日本らしさは見せたが、トンガ戦での粘り強い防御は影を潜めた。攻守におけるキックへの対応や、コンビネーションの精度をさらに高めないと本番は厳しい。世界の進化の速さを実感するシリーズとなった。(野村周平)