世界水泳選手権が開かれている福岡市で、性的少数者とスポーツ界の多様性を考えるイベントが開かれ、国内外のアスリート4人が体験をもとに語り合った。 「プライドトークショー~水泳界からLGBTQ+インクルーシブな社会を目指して」と題して23日に…

 世界水泳選手権が開かれている福岡市で、性的少数者とスポーツ界の多様性を考えるイベントが開かれ、国内外のアスリート4人が体験をもとに語り合った。

 「プライドトークショー~水泳界からLGBTQ+インクルーシブな社会を目指して」と題して23日に開催。以前は女子だけの競技だったアーティスティックスイミング(AS)の男子選手の先駆けで、今大会のアクロバティックルーティンで米国チームのメンバーとして銀メダルに輝いたビル・メイ選手が招かれた。

 「(ASが)小さい頃から大好き。いつか五輪に出て、周りが間違っていると証明してやろうと思っていた」とメイ選手。スポーツは全ての人が楽しめるものであるべきだとして、「それが包摂的な社会の実現につながる」と話した。

 元フェンシング女子日本代表の杉山文野さんは、性自認が男性で、トランスジェンダーと公表した人では初の日本オリンピック委員会理事。「自分らしくいられる選手人生は想像できず、逃げるように引退してしまった」と振り返った。

 また、2021年の東京五輪・パラリンピックで性的少数者だと公表した200人超の選手の中に、日本代表がいなかったと指摘した上で「代表選考に影響するのでは、といった不安がある」。トランス女性への差別を念頭に「包摂か排除かではなく、包摂を前提にどう公平なルールを作るかを考えよう」とも訴えた。

 平泳ぎ金メダリストの岩崎恭子さんは「私も学び、考えていかないといけない」、水球の元日本代表の志水祐介さんは「当事者だけが発言するのではなく、アスリート全員が手を組んで取り組むことが重要だ」と話していた。

 トークショーは、性的少数者支援などに取り組む団体や個人で構成する「プライドハウス東京コンソーシアム」が主催し、会場とオンライン視聴合わせ約50人が参加した。(渕沢貴子)