MLBでは今季ホームランの本数が飛躍的に増加し、話題になっている。ダルビッシュ有(レンジャーズ)、田中将大(ヤンキース)ら日本人投手に加え、メジャー最強左腕のクレイトン・カーショーもボールが飛びやすくなっていると感じていることを告白。一方で…

MLBでは今季ホームランの本数が飛躍的に増加し、話題になっている。ダルビッシュ有(レンジャーズ)、田中将大(ヤンキース)ら日本人投手に加え、メジャー最強左腕のクレイトン・カーショーもボールが飛びやすくなっていると感じていることを告白。一方で、MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏は、発表されていない公式球の仕様変更を完全否定し、バットに問題がある可能性を指摘している。それぞれの主張とはいったいどんなものなのか。

■本塁打の本数が飛躍的に増加したMLB、ボールが「飛ぶ」との声が上がるも…

 MLBでは今季ホームランの本数が飛躍的に増加し、話題になっている。ダルビッシュ有(レンジャーズ)、田中将大(ヤンキース)ら日本人投手に加え、メジャー最強左腕のクレイトン・カーショーもボールが飛びやすくなっていると感じていることを告白。一方で、MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏は、発表されていない公式球の仕様変更を完全否定し、バットに問題がある可能性を指摘している。それぞれの主張とはいったいどんなものなのか。

 米CBSスポーツ電子版は先日、「飛ぶ公式球? ロブ・マンフレッドはボールが厳密な規定内と確信」とのタイトルで特集を組んだ。記事の中では、同コミッショナーが12日(日本時間13日)に全米野球記者協会のミーティングに出席した際、今季物議を醸している“飛ぶ公式球”に関する質問が飛んだという事実について触れている。

 マンフレッド氏はそこで「(ボールが厳密な規定内であることを)完全に確信している」と明言。公式球はリーグ規定に定められた基準を満たしていると主張し、飛ぶ仕様に密かに変更されたという“疑惑”を否定したというのだ。 ただ、記事では「MLBが公式球がどれだけ飛ぶのか標準化できないことについて、とても信じられない」と疑いの目を向けている。

 では、選手の主張はどうか。今季苦戦する田中は、リーグで2番目に多い23本塁打を浴びている。米地元紙「ニューヨーク・ポスト」が以前特集した記事の中で、田中は通訳を介して「僕がおそらく一番ホームランを打たれている投手だろうと思うので… 言い訳に聞こえるかもしれないけれど、ボールは少し飛ぶ感覚がありますね」と語っている。

■ダルビッシュは明確に主張「絶対おかしいと思う」

 また、ダルビッシュもオールスター前日の恒例の合同記者会見で、“飛ぶボール疑惑”について明確に答えている。

「この前、ピッチングコーチが2016年のボールと2017年のボールを出してきて『目をつぶれ』って言われて、『これどっちがいつのボールだと思う?』って。明らかに硬いのがあって『これが硬いです』って言ったら、それが2017年で。それはみんな(投手)一致していた。

 ま、2016年も前年から変わっていたんですけど、さらに今年は飛ぶようになっているのかな、と。自分がバッティング練習をしてもセンターに入っちゃうんで、そんなこと自分の野球人生でバッティング練習でセンターに入ることって一回もなかったんです。それがこの31(歳)の年に入るって絶対おかしいと思う」

 このように主張。トミー・ジョン手術後のリハビリ期間で肉体改造を行った右腕だが「いや、そういう問題じゃない。この前はちょっと泳いで(スタンドに)入った」として、ボールが飛ぶとされる「ヒッターズパーク」の本拠地グローブライフ・パーク・イン・アーリントンでは、投手にとって“命取り”になる可能性も指摘している。

「アーリントンだと、バットの先に当たっても、ボールが上がっちゃうと、もう落ちてこないんで。そこを意識しすぎるとピッチングにならないので、ある程度ホームランは仕方ないのかなと思わないと。だからLAで投げるのとアーリントンで投げるのでは、まったく話が違うんで」

 米ヤフー・スポーツによると、2015年のサイ・ヤング賞左腕ダラス・カイケル(アストロズ)も「これは論証すべき議題だろうね。飛ぶ仕様になっているのか、なっていないのか。誰もそれはわからないけれど、個人的に(飛ぶ仕様になっていると)感じることもあるんだ」と話していたという。

■コミッショナーは新たな主張「バットの問題に視線を向け始めている」

 そして、コミッショナーはここにきて新たな“持論”も展開している。米テレビ局「NBCスポーツ」電子版によると、マンフレッド氏はホールラン激増の理由は、公式球ではなく「バット」にあると主張。「我々が考えている部分の1つはバットだ。バットが変わったという認識を持っている。我々はバットの問題に視線を向け始めている」。飛距離を出すためにバットが改良されたのでは、というのだ。ただ、記事ではこの“説”は一蹴している。

「これはほとんど意味をなさない。研究が証明した通り、2015年後半戦からホームランの急増はスタートしている。公式球は単一の供給源しかない。バットは様々な製造元からやってくる。選手の好みに応じてカスタマイズされ、大きな違いを持つ」

 バットメーカーが足並みを揃えて飛ぶ改良をしたと見るよりも、公式球の製造元が密かに飛ぶ仕様にしたと考えることが自然と指摘。投手泣かせの仕様変更が疑われている公式球問題は、コミッショナー発言で更に波紋が広がる結果となっている。

 いったい真相はどこあるのか。この先も同じペースで本塁打が飛び出せば、議論はさらに複雑なものになっていく可能性もありそうだ。(Full-Count編集部)