84-80。あわや3回戦敗退のところまで追い込まれた。  7月27日、第1シードの開志国際高校(新潟県)は「令和5年度全国高…

 84-80。あわや3回戦敗退のところまで追い込まれた。

 7月27日、第1シードの開志国際高校(新潟県)は「令和5年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」で延岡学園高校(宮崎県)と激突。立ち上がりから多彩なオフェンスを披露して31得点を奪うと、相手を12点に抑え込んで最初の10分間を終えた。

 しかし、ここから突如崩れ始める。第2クォーターのスコアは16-27、第3クォーターも16-22。みるみるうちに点差が縮まり、第3クォーター終了時点でわずか2点リードまで追い上げられた。

 最終クォーター中盤に一時逆転されたものの、すぐさまネブフィ ケルビン シェミリー(2年)の“3点プレー”で対抗。すると、3点リードの残り1分には、平良宗龍(2年)がドライブからのレイアップを沈めて82-77とした。最後まで延岡学園に粘られた開志国際だが、最後は4点差でタイムアップ。試合直後の富樫英樹コーチは開口一番、「話すことはないです」と苦笑いしながらも我々の取材に応じてくれた。

「やっぱりインターハイは何が起こるかわからない。(チームとしては)2日目でギアを入れようとしたんですけど、なかなか入らなかったです」と振り返り、第2クォーター以降のプレーについては「ミスが多くてね。リングに向かっていなかったのが一番の要因です」と指摘。「まだ30分もあるのに、勝ち逃げしようとしていました。完全にこっちが悪い。どれだけパスミス、ターンオーバーを犯して相手にチャンスを与えたか。ひどかったです」と鋭い口調で続けた。

「1クォーターで点差をつけたとしても、少しリズムが狂っただけで10点くらい簡単に詰められますし、それをやられたら相手も勢いに乗ってしまう。今日の相手も『完全にノッた』という感じでした」

 富樫コーチはそう話し、改めて相手に主導権を渡さない試合運びを選手たちに求めた。一方で、「まあ、これで締まったんじゃないですかね。いい教訓です」とコメントし、「しょうがない。これが高校生」と、自らにも言い聞かすように気持ちを切り替えていた。

 合計21個のターンオーバーを犯した開志国際に対し、延岡学園は「15」。前半のターンオーバーを5個にとどめ、楠元龍水コーチはプランどおりだったと明かす。

 現メンバーでは初めてのインターハイだっただけに、「選手たちは、去年も(ウインターカップで)優勝している第1シードに勝つというイメージがなかなか沸かないんです」と難しさもあったようだ。それでも、「自信を持って試合に入っていました」と楠元コーチは選手たちを称え、さらなる飛躍を誓った。

「うちとしてはやりたいバスケットができました。これからも自分たちを信じてやり続けたいと思っています。でも、勝てていないということはもっともっと見つめ直さなきゃいけないです」

文=小沼克年