Bリーグは27日、「将来構想に関する発表会見」を開催し、将来構想概要や新しいロゴ、名称を発表。会見では選手も参加しての座談会が行われ、Bリーグの島田慎二チェアマン、宇都宮ブレックスの田臥勇太、千葉ジェッツの富樫勇樹、横浜ビー・コルセアーズの…

Bリーグは27日、「将来構想に関する発表会見」を開催し、将来構想概要や新しいロゴ、名称を発表。会見では選手も参加しての座談会が行われ、Bリーグの島田慎二チェアマン、宇都宮ブレックスの田臥勇太、千葉ジェッツの富樫勇樹、横浜ビー・コルセアーズの河村勇輝が登壇した。

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■2026年からの新ロゴも発表

2019年7月、Bリーグは初めて将来構想を打ち出したが、島田チェアマンから、「その際には夢のアリーナや売上高12億円、集客4000人といった基準の話だけに留まり、コロナ禍に入り詳細を発表できずにいた。これまでの将来構想を改め、世界一型破りなライブスポーツエンタメ『B.革新』と表現する。過去をリスペクトし未来へ紡ぐという意味で採用した」と説明があった。

目指すビジョンについては、「地元と固い絆を結び、地域に熱いエナジーを巻き起こすリーグを目指す」「圧倒的なダイバーシティ&インクルージョンを体現する、世界で隆一無二のプロスポーツリーグとなる」「目指すは『全試合大接戦』。戦力均衡策を積極的に打ち出し、全てのチーム、プレーヤーに栄光のチャンスを」「クラブの収益性、健全性を重視し、誰もが事業投資したくなるような魅力的なリーグとなる」、これら4つの想いが込められた。

今回は、2026年から使用される新しいBリーグのロゴも合わせて発表された。田臥選手は「今までのデザインの雰囲気を残しながら、新しい未来を感じさせるスタイリッシュなロゴだ」と感想を述べた。「継承と進化、かっこよさを残しつつスタイリッシュさを際立たせたロゴだ」と島田チェアマンはコメントした。

■ディビジョンの名称も発表

ディビジョンについて、新B1リーグは「B.LEAGUE PREMIER」とし、本気で世界の頂点へ目を向け、高みを目指すリーグとなる。オンザコートの自由度を高め、ハングリーで国際競争力の高い日本人選手が生まれる環境を作り上げる。まだ存在しないレベルのリーグであり、大きなチャレンジとなる。

新B2リーグは「B.LEAGUE ONE」とし、バスケを国民的スポーツにすることと全国での普及、両部分で力を発揮する。島田チェアマンは、「今回の2026年の改革のいわゆるキャスティングボードだと思う。多くのクラブがここに占めることになり、30クラブほどが属すると予想している」と語った。

新B3リーグは、「B.LEAGUE NEXT」とし、コンセプトはバスケを国民的スポーツへという点であるが、まずは新規参入クラブや立ち上がったばかりの成長過程なクラブが所属し、10クラブほどが想定されている。「2030年頃を目処にB.LEAGUE ONEとの統合を目指す。B3リーグは現在別法人だが、2026年には一つの傘のもとに入る」と島田チェアマンより説明があった。

将来構想に関する発表会見に登壇したBリーグの島田チェアマン 撮影:木村英里

■6点が挙げられた制度設計

続けて、アグレッシブな制度設計について6点が挙げられた。

1つ目は、リーグの魅力向上や戦力均衡を目指し、さらに各クラブの健全な経営のためにサラリーキャップを導入する方針である。2つ目は、選手の登録・ロスター・オンザコートについてだ。B.LEAGUE PREMIERでは外国籍選手の登録は最大3〜4人。現リーグでは同時にコートに立てる外国籍は2選手のみと決められているが、オンザコートフリーを検討。

またB.LEAGUE ONE / NEXTでは、オンザコート2-1-1-2で検討している。3つ目は、選手の流動性について。コンディション整えるためBLEAGUE PREMERの日本人選手登録を増やすことや、より多く試合に出れる環境作りを考え、柔軟なレンタル(W チーム選手)制度や育成補償金が導入される。BLEAGUE PREMERでは、日本人選手登録から4名指定可能となる。4つ目は、ドラフト制度の導入だ。島田チェアマン曰く、「2025年の秋もしくは春に、 第1回のドラフトをスタートしようと考えている」という。

5つ目、カーディングは露出拡大・アリーナ運営・選手コンディション・AWAY観戦のしやすさを鑑みて、週末試合と平日試合をバランスよく開催することと、日本代表活動を優先しつつリーグ戦を同時開催を目指す。最後にポストシーズンについては、B.LEAGUE PREMIERのFINALは3戦先勝方式で、HOME/AWAY方式を導入することを検討している。B.LEAGUE ONEのプレーオフには16クラブが参加し、半分ほどのチームが出場することで消化試合を減らす考えだ。

加えてレフリーのプロ化にも着手している。レフリーとして、サラリーをもらえるような状況を作り出すため、毎年2名ずつプロレフリーを作り出し現在は10名のプロレフリーがいる。B.LEAGUE PREMIERがスタートする際は、全試合にプロのレフリーがいるという状況を目指している。

■島田チェアマン「高い目標にたどり着く」

島田チェアマンは、「昨シーズンの総入場者数は320万人だった。これを2028年、5年後には500万人。 おそらく500万人は大きく超え550万人ぐらいは達成できるのではないだろうか。その数字達成のために、B.LEAGUE PREMIERの平均入場者数は6000人、B.LEAGUE ONEは3000人を目指す。まさに今のB1がB.LEAGUE ONEぐらいの世界観。非常に高い目標だが十分たどり着けるのではないか」と語った。

島田チェアマンの説明を受け、田臥は「経験が長く、スーパーリーグからスタートした。新しいステージに向かうことは選手としてワクワクする。リーグが歩みを続ける中で、選手や環境のレベルや規模が大きくなっている。光をより輝かせるための新リーグになってほしい」と語り、富樫は「プロ10年目。この規模の発表を聞き、この10年の成長に驚くとともに幸せに思う。NBA選手を輩出したいという話もあり、楽しみにしたい。NBAに次ぐリーグにするという熱い想いがあると思う。明るいバスケ界にするために大きな変化は必要だろう」とコメントした。また、河村は「過去の変化の過程での経験がないので、楽しみでもあり、どうなるのかという不安もある。頑張っていきたい」と本音を覗かせた。 

夢があるだけでなく選手たちからは課題や懸念点の声も挙がった。田臥からは、「2WAY契約は、選択肢があり選手にとっては無いよりは良いが、B.LEAGUE PREMIERに外国籍選手が多く出場し日本人選手がなかなか出場できないのでB.LEAGUE ONEへ多く流れ、実力ある日本人選手たちがいなくなってしまうと困ったもの。どうバランスを整えながら、強い、魅力ある、実力ある、子供たちが目指せるリーグにしていくか」と意見があった。

河村も、「自分たちの評価やプレータイムを求めて、いいプレーヤーが下のリーグに行ってしまう可能性がある。日本人選手の活躍も見て、今応援してくれているファンの皆さんがいてこその(集客)6000人が達成できる大きな目標だと思う。だからこそ日本人選手の活躍の場を増やすことも大切。ファンの皆さんが見に来たいというB.LEAGUE PREMIERに」と続いた。富樫はドラフト制度へ一定の期待感を示しながら、「各チームの練習場の環境やサラリーの部分も現段階ではかなり差がある中で、ドラフトされる選手には、サラリーへの補償や練習環境を整えることが必要。まだ現段階ではあまり想像がつかない」と語った。リーグとしては選手会とも密にやりとりをしながら、引き続きより良い着地点を見出していく。

「攻めた改革」と島田チェアマンは表現した。その裏には、選手たちにとっては夢があるリーグにしなければならない。選手に関わらず、関わる全ての人が持続可能な世界・ビジネスであることへの強い決意が感じられた。最後に、田臥は「色々な方のサポートやファンの方のサポートがあり日本バスケは進化し続けられている。新しい変化により、バスケがレベルアップするよう協力し合いながら、子供たちが夢のあるリーグに成長してもらいたい」と締め括った。掲げる理想と現実の中で細かなところまで考慮した上で調整がさらに求められる。

新しく生まれ変わるBリーグと、日本バスケットボール界のこれからに期待したい。

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■著者プロフィール

木村英里(きむら・えり) ●フリーアナウンサー、バスケットボール専門のWEBマガジン『balltrip MAGAZINE』副編集長

テレビ静岡・WOWOWを経てフリーアナウンサーに。現在は、ラジオDJ、司会、ナレーション、ライターとしても活動中。WOWOWアナウンサー時代、2014年には錦織圭選手全米オープン準優勝を現地から生中継。他NBA、リーガエスパニョーラ、EURO2012、全英オープンテニス、全米オープンテニスなどを担当。