イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(7月3~16日/グラスコート)はミドルサンデーをはさんで本戦7日目を終え、男女シングルス4回戦のほか、男女ダブルスの3回戦、ミックスダブルスの2回戦などが行われた。 コンビを組んで2大…

 イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(7月3~16日/グラスコート)はミドルサンデーをはさんで本戦7日目を終え、男女シングルス4回戦のほか、男女ダブルスの3回戦、ミックスダブルスの2回戦などが行われた。

 コンビを組んで2大会目の二宮真琴(橋本総業ホールディングス)とレタナ・ボラコバ(チェコ)のペアは、第5シードのルーシー・ラデッカ/カテリーナ・シニアコバ(ともにチェコ)に6-4 6-4と快勝。これまでグランドスラムでは2回戦を突破したことがなかった二宮だが、最高成績をまた更新する準々決勝進出となった。

 また、初のミックスダブルスで2回戦に駒を進めた穂積絵莉(橋本総業ホールディングス)とプラブ・ラジャ(インド)のペアは3回戦進出ならず。ダニエル・ネスター(カナダ)/アンドレア・クレパーチ(スロベニア)に2-6 5-7で敗れた。◇     ◇     ◇

 軽快な動きで相手ペアを揺さぶっていた二宮が、最後もフォアのボレーを鮮やかに決めた。

 対戦ペアの一人、ラデッカはグランドスラム全大会で決勝進出の実績があり、全仏と全米では優勝している。今年は12歳離れた同国の若手シニアコバと組み、すでに3つのツアー・タイトルを獲得している強敵だった。しかし二宮/ボラコバは両セットとも早い段階でブレークに成功。自分たちのサービスゲームは第1セットの第4ゲームで15-40のピンチがあったが、これをしのいだあとは一度もブレークポイントも握られなかった。

 芝で有効なフラット系のショットが持ち味のボラコバが後ろでチャンスをつくり、小柄ながら機敏な動きが持ち味の二宮が前でボレーを決める。コンビ経験はまだ浅いとはいえ、両者の持ち味を生かしたパターンがしっかりできている。

 グランドスラムの自己最高をまた更新するベスト8入り、それも上位シードからの金星。しかし試合後の会見の第一声は、「全豪で穂積さんと加藤さんがベスト4にいってたので、まだ追いつけてないという気持ちのほうが強い。まだあんまりうれしいっていう感じじゃないです」という、同世代コンビに対するむき出しのライバル心だった。

 全豪オープンのベスト4入りで注目された穂積と加藤未唯(佐川印刷)のペアと同年生まれの23歳。「あの二人ができるんだったら私もできる」。その負けん気と自信こそ最大の原動力なのだろう。この世代には日比野菜緒(LuLuLun)と尾﨑里紗(江崎グリコ)もいるが、彼女たちの昨年からの躍進を見ればその相互作用は明白だ。

 二宮/ボラコバが次に挑む相手はスベトラーナ・クズネツォワ(ロシア)/クリスティーナ・ムラデノビッチ(フランス)で、ノーシードとはいえそれぞれグランドスラムを含めて多数のダブルス・タイトルを持つ強豪。この準々決勝も突破して全豪の穂積/加藤に並ぶということは、ウィンブルドンでは2013年の青山修子(近藤乳業)以来のベスト4進出(/シャネル・スケッパーズ)でもある。

 二宮が過去に経験したグランドスラム4大会でのパートナーはすべてその青山だったが、6歳上の先輩から学んだことは「どんなときでもポジティブな姿勢」だという。

「私がミスをして落ち込みそうなときもいつも励ましてくれて、いいプレーだったって褒めてくれるので、そういうふうに私もパートナーに接したい」

 ボラコバは二宮より10歳も上で経験も豊富だが、二宮の溌剌としたプレーは状況によってはボラコバを引っ張っている。

 今大会では二宮のミックスダブルスのパートナーとしても活躍した綿貫裕介コーチは、「もともと俊敏さに秀でていて、体は小さいけれどボールに積極的に飛びついていくし、ミックスダブルスでも男子に向かって思いきり打っていくようなところがある」と評した。

 一戦一戦自信を膨らませている二宮だが、同年のライバルたちと先輩パートナーがグランドスラムに残した足跡、ベスト4にまずは並ぶことができるだろうか。(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)

※写真は「ウィンブルドン」の女子ダブルスでベスト8に進んだ二宮真琴(橋本総業ホールディングス/中央)とレタナ・ボラコバ(チェコ/右)のペア。(撮影◎小山真司/テニスマガジン)