オーストリア・シュタイアーマルク州のレッドブルリンクで2日、F1第10戦オーストリアGPの決勝レースが行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が今季7勝目となる勝利を飾った。スプリント形式のフォーマットが組まれたオーストリア…

オーストリア・シュタイアーマルク州のレッドブルリンクで2日、F1第10戦オーストリアGPの決勝レースが行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が今季7勝目となる勝利を飾った。

スプリント形式のフォーマットが組まれたオーストリアGP。金曜日にフリー走行と決勝レースに向けた公式予選が行われ、土曜日は独立した1日となり、午前中にスプリント(決勝レースの1/3の距離で争われるレース)の予選と、午後にスプリントが行われる。そして日曜日は決勝レースだけが行われる。スプリントは1位から8位に8から1のポイントが与えられる。決勝レースは他のレースと同じく、1位が25ポイントで、以下18、15、12、10、8、6、4、2、1と10位までが入賞でポイントが与えられる。さらにファステストラップ獲得者に1ポイントが与えられる。

スプリントはマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がポールトゥウィンを達成。セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)が2位に入り、レッドブル・ホンダがワンツーフィニッシュを飾った。3位はカルロス・サインツ(フェラーリ)。以下ランス・ストロール(アストンマーチン)、フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)、ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)と続いた。

アルファタウリ・ホンダは角田裕毅が16位、ニック・デ・フリースが17位の結果となった。

金曜日に行われた決勝レースの公式予選では、ペレスがコースから外れてタイムを記録したと判定され、Q2敗退の15番手となる波乱があった。ポールポジションは今回もフェルスタッペン。2-3番手にフェラーリのルクレール、サインツが並び、4番手以下はランド・ノリス(マクラーレン)、ルイス・ハミルトン(メルセデス)、ランス・ストロール(アストンマーチン)と続いた。アルファタウリ・ホンダは角田が16番手。デ・フリースは20番手となりピットスタートを選んだ。

決勝レースは71周。フェルスタッペンはスタートを決めてトップをキープしたが、ルクレールが肉薄してきた。その後ろからサインツも襲いかかり、3台でのトップ争いとなるかと思われたが、1コーナーに部品が散乱していたためすぐにセフティーカーが導入され、バトルは一旦休止となった。

リスタートは4周目。フェルスタッペンはここから後続を引き離しにかかり、13周目には2位ルクレールに約5秒の差をつけていた。しかし15周目にトラブルでストップしたマシンがありVSC(バーチャルセフティーカー=一定の速度で差を保ったまま走行)が導入され、レースは一旦休止に。ここで2位以下の多くのマシンがピットインしてタイヤ交換を行った。VSC中はコース上のマシンの走行速度が遅いため、ピットインしても大きくロスしないためだ。レッドブル・ホンダの2台はステイアウトし、フェルスタッペンはそのままトップをキープ。15番手スタートから9位まで順位を上げていたペレスは3位まで浮上した。

2位のルクレールはなんとか順位をキープ。後ろからペレスが迫っていたが、フレッシュなタイヤで徐々にペレスとの差を広げていった。ペレスは20周目にサインツにも抜かれ4位に後退。この時点でトップはフェルスタッペン、その15秒後にルクレール、その5秒後にサインツとペレスというオーダーになった。

24周目にトップのフェルスタッペンがピットイン、翌周にペレスがピットインしてそれぞれ3位、10位でコースに戻った。フェルスタッペンはファステストラップを記録しながら26周目にはサインツを抜いて2位に浮上。その時点で6秒あったルクレールとの差を徐々に縮め、35周目にフェルスタッペンがトップを奪還した。

ペレスもファステストラップを叩き出しながら、43周目には4位に浮上。サインツとルクレールのピットインで48周目には2位に上がってきた。この時点でフェルスタッペンとの差は25秒。トップを狙うのは不可能だが、ペレスは2位フィニッシュに向け猛プッシュした。

49周目にトップのフェルスタッペンが2度目のピットイン。トップをキープしてコースに復帰した。ペレスは50周目にピットイン。ルクレールとサインツ、さらにはノリスにも先行され5位でコースに復帰した。

フェルスタッペンはトップを快走。2位ルクレールは速いペースを保ちながらも徐々にフェルスタッペンに引き離される展開。3位サインツはルクレールの約8秒後方をほぼ同じタイムで走行していた。ペレスは57周目にノリスを抜いて4位に浮上。そこからサインツとペレスは大バトルを展開し、62周目にやっとペレスが3位を奪った。しかしバトルの間にルクレールとの差は12秒に開いており、ペレスが2位を狙うのは絶望的となった。

フェルスタッペンはルクレールに20秒以上の差を付けていたため、残り2周でピットインしてソフトタイヤに交換。ファイナルラップでファステストラップをもぎ取り今季7勝目となるトップチェッカーを受けた。フェルスタッペンは5連勝で、ポールトゥウィンは4戦連続。レッドブル・ホンダチームとしては今季開幕から9戦連続優勝となった。

2位はルクレールで、今季2度目の表彰台。3位はペレスで、こちらは今季5度目の表彰台となった。

■アルファタウリ・ホンダはデ・フリース15位、角田が18位
16番グリッドからスタートした角田は、スタート直後に13位まで浮上。しかし遅い前の車を避けてコースアウトし、さらには1コーナーでフロントウイングを破損していたため1周目にピットインを行った。破損したフロントウイングの破片回収のためセフティーカーが導入されたため、角田は隊列の最後部につくことができ、VSC開けの16周目には8位まで順位を上げてきた。しかし戦略がうまくいかず、4回のピットストップを行うことになり上位に浮上できず、最終的に18位フィニッシュとなった。

デ・フリースはピットスタートから数々のバトルを展開。最終的に15位でフィニッシュした。

次戦、F1第11戦イギリスGPは7月7日から7月9日の日程で開催される。

■決勝レース終了後に12件の追加ペナルティ
予選でもターン10(最終コーナー)でトラックリミットオーバー(車両がコースを逸脱)する違反で、該当ラップタイム抹消のペナルティを受けたドライバーがいたが、決勝レースでは多くのドライバーがトラックリミットオーバーにより、タイム加算のペナルティを受けることになった。

レース中に出されたタイム加算ペナルティは、ピットインの際にペナルティー分の時間作業を行わず静止するか、レース直後に決勝レースの結果にタイム加算が行われる。しかし今回はアストンマーチンがレース後に意義を申し立て、それに基づき再調査を行った結果、ペナルティに漏れがあったことが発覚。新たに8名のドライバーに合計12件のペナルティが与えられることになった。

新たに与えられたタイム加算ペナルティは以下の通り

・カルロス・サインツ:10秒
・ルイス・ハミルトン:10秒
・ピエール・ガスリー:10秒
・アレクサンダー・アルボン:10秒
・エステバン・オコン:5秒+10秒+5秒+10秒(計30秒)
・ローガン・サージェント:10秒
・ニック・デ・フリース:10秒+5秒(計15秒)
・角田裕毅:5秒

この結果、サインツが4位から6位に、ハミルトンが7位から8位に、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)が9位から10位に、エステバン・オコン(アルピーヌ)が12位から14位に、デ・フリースが15位から17位に、角田が18位から19位にそれぞれ降格となった。

■オーストリアGP決勝レース結果(ペナルティ反映後)
1.マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2.シャルル・ルクレール(フェラーリ)
3.セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)
4.ランド・ノリス(マクラーレン)
5.フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)
6.カルロス・サインツ(フェラーリ)
7.ジョージ・ラッセル(メルセデス)
8.ルイス・ハミルトン(メルセデス)
9.ランス・ストロール(アストンマーチン)
10.ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
11.アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)
12.周冠宇(アルファロメオ)
13.ローガン・サージェント(ウィリアムズ)
14.エステバン・オコン(アルピーヌ)
15.バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)
16.オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
17.ニック・デ・フリース(アルファタウリ・ホンダ)
18.ケビン・マグヌッセン(ハース)
19.角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
以上完走

--.ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)