7日、富士スピードウェイで今季第3戦を開催中の全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)は、かねてから計画していた今季の「タイヤ2スペック制」導入レースの概要について発表した。通常、SFのドライ路面用スリックタイヤは1スペックのみ。レースをよ…

7日、富士スピードウェイで今季第3戦を開催中の全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)は、かねてから計画していた今季の「タイヤ2スペック制」導入レースの概要について発表した。

通常、SFのドライ路面用スリックタイヤは1スペックのみ。レースをより戦略性に富んだものとするための2スペック制は昨年もツインリンクもてぎ戦で限定的に行なわれており、今季は複数大会での実施を目標にSFのシリーズ主催団体「JRP」とワンメイクタイヤ供給社である「ヨコハマ」が調整を進めていた。

供給セット数等の運用規則詳細は依然調整中だが、今季は8月の第4戦もてぎ(栃木県)と9月の第5戦オートポリス(大分県)、2大会連続で2スペック制が実施されることが決まった。通常スペック(ミディアム)に加えて新たに供給される「ソフト」との2スペック制になる。決勝レースでは両スペックとも使用することが義務づけられる見込みだ。

7月後半にオートポリスで実施される予定のメーカーテスト(全チーム参加ではない)でソフトタイヤの最終確認がされてから量産に入るスケジュールとのこと。これまでにも昨年9月、今年6月とスポーツランドSUGO(宮城県)で開発のための実走テストが進められており、その仕様がさらにアジャストされる。ヨコハマの開発本部プランニングジェネラルマネージャー、渡辺晋氏は「昨年のソフトは2スペックとしては(結果的に)パフォーマンス差が小さい面があったので、今年はもっと(ミディアムとの)差がつく方向を目指しています」と語る。

現状の17年型ソフトのコンパウンド有力候補は「昨年のソフトよりもSUGOでコンマ5~8秒速いものです」と渡辺氏。SUGOの1周距離が短いことを考えると、もてぎ、オートポリスでは1秒前後かそれ以上のラップタイム差が生まれる可能性が高いと見てよさそうだ。

また、“パフォーマンス差”という意味ではライフの面もカギになるが、渡辺氏はソフトを「なるべく1レース“もたない”ようなタイヤにしたいと思っています」とも語った。SFの通常のレース距離は250km。「タイヤの摩耗に厳しいSUGOの場合で、ですが、(戦闘力をキープできる航続距離を)150km程度と想定しています。もてぎではそれよりもつかもしれません。ただオートポリスでは、もてぎほどもたないだろうと思います」。これは戦略面でレースを面白くしそうな要素だ。

興行のためにヨコハマは大英断をしたといえよう。ワンメイクであっても“こういった特性のタイヤ”をつくることにはタイヤメーカーは抵抗感が強いもので、それは当然でもある。だが、シリーズと、そしてなによりファンのためにヨコハマは(安全性はしっかりチームとともに担保しつつ)素晴らしい決断をくだした。拍手を贈りたい。

なお、ソフトタイヤにはサイドウォールが赤く見えるようなマーキングが施される。こちらも昨年より一層の見分けがつきやすいものを目指して調整が進められている。

SF第4戦もてぎは8月19~20日、第5戦オートポリスは9月9~10日の開催。この2大会では、それぞれの“前日”に実施予定の金曜フリー走行もさらなる重要性を帯びてきそうだ。

JRPの倉下社長(左)とヨコハマの渡辺氏。《撮影 遠藤俊幸》

JRPの倉下社長(左)とヨコハマの渡辺氏。《撮影 遠藤俊幸》

通常の1スペックタイヤが「ミディアム」ということになる(写真は第3戦富士)。《撮影 遠藤俊幸》

通常の1スペックタイヤが「ミディアム」ということになる(写真は第3戦富士)。《撮影 遠藤俊幸》

もてぎとオートポリスでは赤いマーキングの「ソフト」タイヤも供給される(イメージイラスト)。《撮影 遠藤俊幸》

もてぎとオートポリスでは赤いマーキングの「ソフト」タイヤも供給される(イメージイラスト)。《撮影 遠藤俊幸》

現在のSFは全車がヨコハマ製タイヤで戦っている。《撮影 遠藤俊幸》

現在のSFは全車がヨコハマ製タイヤで戦っている。《撮影 遠藤俊幸》

SF第3戦富士、土曜フリー走行の模様。《撮影 遠藤俊幸》

SF第3戦富士、土曜フリー走行の模様。《撮影 遠藤俊幸》

SF第3戦富士、土曜フリー走行の模様。《撮影 遠藤俊幸》

SF第3戦富士、土曜フリー走行の模様。《撮影 遠藤俊幸》

SF第3戦富士、土曜フリー走行の模様。《撮影 遠藤俊幸》

SF第3戦富士、土曜フリー走行の模様。《撮影 遠藤俊幸》