第123回全米オープンは15日(日本時間16日)から4日間、カリフォルニア州のロサンゼルスカントリークラブで開催される。この今季3つ目の4大メジャーには4名の日本人選手が出場する。米ツアーで活躍を続ける松山英樹、日本での本大会出場権をかけた…

第123回全米オープンは15日(日本時間16日)から4日間、カリフォルニア州のロサンゼルスカントリークラブで開催される。この今季3つ目の4大メジャーには4名の日本人選手が出場する。米ツアーで活躍を続ける松山英樹、日本での本大会出場権をかけた予選会を突破した石川遼と永野竜太郎、アメリカでの予選会を突破した桂川有人だ。

やはり注目は松山。昨年の今頃は13位だった世界ランキングは6月12日時点で26位まで下降し、優勝は昨年1月のソニーオープン以来遠ざかっているが、最近は好調をキープしている。

3月に開催された第5のメジャー、ザ・プレイヤーズ・チャンピオンシップで5位。マスターズ16位タイ、全米プロ29位タイと、4大メジャーでも悪くない順位だった。さらに全米オープン前、最後の試合となったメモリアルトーナメントでは、2日目終了時点で首位と1打差の2位につけるなど優勝を争い、上り調子であることを感じさせている。

3月の世界ゴルフ選手権-Dell Technologiesマッチプレーで大会中に首の痛みにより棄権することになったものの、その後その首の痛みは和らいできているようで「首の痛みがなく試合に臨めている」と松山の表情は明るい。

◆【実際の映像】ロサンゼルスCCのラフ…ボールが見えなくなるほど深い

松山英樹の直近7試合成績

■100ヤード以内のラフからのショットは米ツアー2位

松山はもともとアイアンショットの安定感は‟米ツアートップ”と言っても過言ではなかった。第1打からグリーンに乗せるまでに稼いだ打数を示すSG(ストロークゲインド):ティー・トゥ・グリーンと、グリーンを狙うショットで稼いだ打数を示すSG:アプローチ・ザ・グリーンは、米ツアー本格参戦初年度(2013~14シーズン)からそれぞれ4位と3位に入り、以降も毎年のように上位に入った。

今季はSG:ティー・トゥ・グリーンが21位、SG:アプローチ・ザ・グリーンが30位となっており、松山にしてはショットの精度が高くないが、グリーン周りを含めたウェッジの精度が高い。100以内からのラフからのショットの精度は米ツアー2位だ。

松山英樹 ラフからのショットスタッツ

※1フィート:30.48センチ 1インチ:2.54センチ スクランブル:パーオンしなかったホールでパーかバーディをとる確率

 

全米オープンの特徴といえばラフ。毎年、選手を苦しませる長いラフが“死闘”を演出している。長さはそれほどでない場合でも、スポッとボールが沈むようなラフで、入ると狙った方向に思うような距離を出すことがとてつもなく難しくなる。

ラフに入れないことがベストだが、ショットの調子が悪くなくても、ある程度の確率でラフに入るもの。また、7423ヤード、パー70と、コースの設定距離が長いため、方向を重視し過ぎると次のショットで距離が残ってしまい、スコアメイクしにくくなる。ある程度はラフに入るリスクを背負いながらショットせざるをえない。

そんな中での松山の100ヤード以内のラフからのショットに関するデータは好材料だ。他の選手より全米オープンならではのラフを苦にしないのではないだろうか。ラフからのショットに余裕を持てると「ラフに入ってもなんとかできる」と、すべてのショットに余裕が生まれ、結果、フェアウェイをキープしやすくなる好循環も期待できる。

■得意の全米オープンで‟世界のHIDEKI”が再上昇

世界ランキング2位だった頃は「もう一つ上の景色を見てみたい」と語っていたが、現状は同じことを言える結果を出せていない。だが松山はまだ31歳で、再上昇に期待できる。

米ツアーではジョン・ラームやローリー・マキロイら実力者が強さを発揮し続け、スコッティ・シェフラーなどの若い世代が地位を築いてきている。その中で強くあり続けるのは相当な努力が必要だが、体が健康でさえあれば、練習の虫である松山は対等に戦えるはず。

日本男子ツアーでは世界に目を向けている若手同志が毎週のように熱戦を繰り広げている。彼らが追いかけているのは松山の背中。そんな若手の力を引き上げるためにもまだまだ先を行き続けたい。

全米オープンは松山の得意な大会。2017年は優勝したブルックス・ケプカと優勝争いを繰り広げ、昨年は4位。ほかの年もまずまずの順位で大会を終えている。

ロサンゼルスカントリークラブは‟世界のHIDEKI”をあらためて見せつける舞台になりえる。ケプカ、マキロイと同組となった予選ラウンドから注目だ。

松山英樹、全米OP順位

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著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。

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